内見するのにお金が必要?気になる賃貸契約に関連する費用

公開:2021/02/17
更新:2023/06/12
内見するのにお金が必要?気になる賃貸契約に関連する費用
これからお部屋を借りようとする方の中には「内見するときに仲介業者にお金を支払わなければならない?」「初期費用や毎月かかる費用はどのくらい?」など、お金に関する疑問をお持ちの方がいらっしゃるかもしれません。今回はこれから賃貸物件を契約することを考えている方に、内見時にかかる費用や必ずかかる初期費用、契約した後の毎月かかる費用などについて、詳しく解説していきます。

賃貸物件を契約するのに必要なお金とは

賃貸物件を契約して必要になるお金(費用)は、大きく分けて次の3つがあります。

  • 必ずかかる初期費用
  • 物件によって決められるその他初期費用
  • 家賃などの、毎月かかる費用

それぞれについて、「どんなものなのか」「実際にいくらくらいなのか」を確認していきましょう。

必ずかかる初期費用

賃貸物件の契約に必ずかかる初期費用は次のとおりです。

  • 敷金
  • 礼金
  • 保証金
  • 仲介手数料
  • 前家賃
  • 火災保険料

それぞれご紹介していきます。

敷金:退去時の原状回復費用や賃料等の滞納の担保

債務の担保として預けておくお金です。退去時の原状回復費用や賃料等の滞納の担保として預かるものです。賃貸契約を結んだ後に支払うもので、一般的には家賃の1~2ヶ月分が相場です。

例えば、敷金が家賃の1ヶ月と設定されていたとします。家賃が月額50,000円であれば敷金は50,000円です。

では、なぜ敷金を支払わないといけないのでしょうか。部屋を貸す側(大家さんまたは管理会社)からすれば、退去後に大きなクリーニング費用や修繕費がかかってしまうと大変です。そのため、契約時にそれらの費用として預かっておくのです。

実際、敷金は一般的に退去後に余ったら返ってきます。初期費用として敷金を抑えるのは難しいのが実情ですが、少しでも負担を抑えたいのであれば次のようなポイントを意識しましょう。

  • 家賃を滞納しない
  • 部屋を傷つけない
  • 部屋を汚さない

近年では家賃保証協会に加入するのを条件に、敷金を減額したり、敷金なしでクリーニング費用のみを入居時に預けておいたりするケースも増えています。

礼金:お礼として大家さんに支払うもの

礼金とは、部屋を借りるお礼として大家さんに支払うものです。こちらも家賃の1ヶ月分程度が相場となっています。不動産会社や賃貸物件によっては礼金がゼロ円の場合もあります。

しかし一般的には、敷金と同様に家賃が50,000円であれば礼金も50,000円ほどです。礼金は敷金と違い、担保のような意味合いはありません。その名のとおり「気持ち」を表すもので、賃貸契約が終了し退去しても、原則として戻ってきません

礼金を抑えたいのであれば、大家さんに交渉してみましょう。しかし、値引き交渉に応じてもらえる確率は、そう高くありません。

また、礼金は慣習によるもので法律的な根拠はないものとされ、金額の基準も関東と関西では違うなど、地域によって差があります。礼金なしの物件も昔より増えています。

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保証金:大家さんに預けるお金(近年では見られなくなった)

東日本で賃貸契約をする際にはあまり見られない「保証金」ですが、関西や九州の一部地域では、賃貸物件を契約する際に、大家さんに預けるお金として請求される場合があります。

保証金は元来、関西の商習慣であり、敷金や礼金とは異なるものですから、敷金礼金に加えて支払う必要はありません。金額は家賃の4~7ヶ月分が目安のようです。家賃未納や原状回復費用が発生した場合に、保証金はそれらの費用に充当されることになり、差し引いた保証金の残金は退去時に返還されます。

ただ、最近では関西でも、全国的な取引習慣である敷金や礼金を採用している物件が増加し、保証金を取るケースはあまり見かけなくなりました。保証金なしの物件が増えてきた理由としては、賃貸物件を探す際にインターネットで消費者自らが検索すようになり、わかりやすくするためというのも一因です。全国展開している不動産仲介会社などが、関東都市圏のルールを関西でも適用するようになり、商習慣に地域差がなくなってきたということです。

仲介手数料:不動産屋さんに支払う手数料

仲介手数料とは、仲介を行う不動産屋さんに支払う手数料を指しており、物件案内や契約手続きの対価です。法律で仲介手数料の上限は「家賃の1ヶ月分」と決められており、それ以上の金額は認められていません。大家さん(貸主)も不動産屋さんに仲介手数料を支払います。

入居者が支払う仲介手数料の相場としては、家賃の0.5~1ヶ月分ほどです。別途消費税10%(2021年現在)が発生する点は押さえておきましょう。

  • 例えば、家賃が50,000円で仲介手数料が0.5ヶ月分なら、仲介手数料は25,000円と消費税10%の27,500円となります。

不動産屋さんは貸主と借主の間を仲介して、両者の契約を成立させることが仕事です。賃貸物件の空室を埋めるだけでなく、貸主と借主の契約条件の調整や契約書類作成、契約から引き渡しまでの事務手続きなども代行します。これらの活動に対しての報酬です。

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前家賃:入居する月の日割り家賃と次月分の家賃

前家賃とは、賃貸契約の際に支払う家賃のことです。月の途中に入居する場合は「日割り家賃」が発生します。基本的には、1日あたりの家賃に残り日数を掛けて算出します。家賃は基本的に前払いであるため、次月分の家賃も支払わなければなりません。

日割り家賃を計算するためには「家賃がいつから発生するのか」がポイントになります。この点に関しては「契約日」を基準にするのか「入居日」を基準にするのか不動産会社などで違いが見られます。 気になるようであれば、事前に相談・確認しておきましょう。

「契約日」を基準とした場合の前家賃の例は以下のとおりです。

<3月15日に契約した場合の前家賃>

  • 家賃は月に50,000円と仮定
  • 3月の残り日数が15日と仮定
  • 3月に契約したなら、3月末までと4月分の家賃を支払わなければならない
  • 3月末までの日割り家賃は 50,000円(家賃) ÷ 31日×15日= 24,194円
  • 前家賃は3月末までの日割り家賃24,194円と4月分家賃50,000円を合計し74,194円

火災保険料:火災保険のためのお金

火災保険料も契約時に必要となる費用の一つです。万が一、借主の過失による火災や水漏れトラブルなどが発生すれば、多額の賠償金を大家さんに支払わなければなりません。損害保険に入っていればいざという時には保険金が支払われますので、火災保険の加入を契約の条件にしている大家さんがほとんどです。

保険料は損害保険会社に支払います。ワンルームで15,000円、ファミリーで20,000円程度が目安金額です。

火災保険は不動産会社が紹介する場合が多いですが、特に貸主が指定していない限り、個人で選んだ保険に加入することも可能です。その際には加入証明(保険証券のコピー)を提出が求められます。通常は2年契約が基本です。

不動産会社を経由して申し込む火災保険は、比較的簡単に手続きが済むメリットがあります。しかしその一方で、保険料が必ずしも安いとは限りません。

参考記事:賃貸物件の火災保険はなぜ必要?加入の目的や方法、補償内容を解説

物件によって決められるその他初期費用

物件によって決められるその他初期費用は以下が代表的な例です。

  • 家賃保証料
  • 鍵交換代
  • 害虫駆除、消臭などのクリーニング費用

それぞれご紹介いたします。これら以外にも費用がかかるケースがありますので、必ず確認するようにしましょう。

家賃保証料

家賃保証料とは、「家賃保証会社」に加入するために必要となる費用のことです。保証会社とは、入居者の家賃を保証する会社のことで、万が一、借主が家賃を滞納した際は、保証会社が家賃を立て替えて大家さんに支払うことになります。保証料は家賃保証会社により様々ですが、家賃の0.5~1ヶ月が目安です。

  • 例えば、家賃80,000円のマンションで保証会社を利用する場合、賃貸借契約を結ぶ際に40,000~80,000円を保証料として支払うことになります。

また、1年ごとに更新料として10,000円前後を支払わなければなりません。
従来は、賃貸借契約を締結する際には「連帯保証人」を立てるように貸主サイドから求められるのが一般的でした。ただ、近年では肉親でも連帯保証人を頼める人が少ない風潮になりつつあり、いたとしても実際には支払い能力がない人も少なくありません。

いったん事故が起きると、家賃の督促は非常に手間がかかる厄介な問題なので、保証会社への加入を必須とする貸主が増加中です。

鍵交換代

鍵交換代とは、新しい入居者が入る際に、以前の入居者が使用していた鍵を取り替えるための費用です。
前の入居者が所持していた鍵をそのまま使用していると、不法侵入や盗難など、思わぬ犯罪に巻き込まれる可能性がなくはありません。防犯上のリスクを避けるために、鍵を取り替えることは一般的です。

鍵を交換する場合に負担をするのは、退去者・入居者・大家さんのいずれかになりますが、新しい入居者が負担することがほとんどです。安い金額ではないため新しい入居者にとっては負担になってしまいますが、安心できるのがメリット。鍵交換代の相場は、通常のドアは15,000円ほど、オートロック機能が搭載されているドアの場合は、工事費込みで20,000円~40,000円が目安です。

害虫駆除、消臭などのクリーニング費用

害虫駆除、消臭などのクリーニング費用も初期費用に含まれることがあります。不動産会社によっては実施しない場合もあったり、実施するとしても消毒作業も含まれていたりと、内容や料金は同じではありません。

中には数千円のスプレー缶を不動産会社の社員が噴射するだけの場合や、専門業者が専用の機械を使用して、消毒作業をすることもあります。数分~数十分という短時間の作業で終了しますが、金額は10,000円〜20,000円と安くはない費用を請求されることが多いです。

ここまで初期費用について書いてきましたが、初期費用については以下の記事も参考にしてください。

参考記事:一人暮らしの初期費用を安く抑えるコツは?費用内訳や目安と共に解説

毎月かかる費用

賃貸契約後、毎月かかる費用は次のとおりです。

  • 家賃
  • 管理費(共益費)
  • 光熱費
  • インターネット費用
  • 管理会社指定の入居者向けサービス会員費用
  • 町内会費など

それぞれご紹介いたします。

家賃

家賃とは、賃貸物件の入居者が貸主に対して支払う賃貸料のことを指します。1ヶ月単位の金額で設定されており、住居系の場合は消費税はかかりません。しかし、事務所や店舗など事業系の賃料は消費税が上乗せされます。

一般的には、翌月の家賃を前払いで払う「前家賃制」を取り入れている貸主が多いです。
また、総務省が取りまとめた「平成 30 年住宅・土地統計調査」によれば、借家の月額家賃の平均は55,675円です。

管理費(共益費)

管理費とは、マンションやアパートの維持管理に必要な費用を指します。具体的には、「エントランスや共用廊下の電気代及び電球交換費用」「管理人の清掃費用」「その他共用部分で発生する水道料金など諸費用」などが該当します。

管理費の金額は同じマンションでもすべての部屋が同じというわけではなく、広さによって金額が変わってくる場合もあります。管理費も家賃と合算して毎月支払うものなので、それらを足し合わせたうえで高いかどうかを判断するとよいでしょう。

賃貸物件の管理費を決めるのは大家さんなので明確な決まりはありませんが、相場としては家賃の5〜10%程度が多いようです。場合によっては「共益費」と記載されていることもあります。

水道光熱費

水道光熱費とは、生活をするのに必要な電気、ガス、水道などにかかる費用のことを指します。水道光熱費は毎日発生するものなので、大体のランニングコストをきちんと把握しておくようにしましょう。

また、同じような広さの部屋に入居しても、光熱費はエリアによってかなり差が見られます。寒冷地方などに住む際には、暖房代が非常に高額になることも考えるようにしてください。

総務省が平成29年に調査した家計調査では、単身世帯における水道光熱費の月平均は11,380円となっています。

参考:総務省「家計調査報告(家計収支編)平成29年(2017年)III 総世帯及び単身世帯の家計収支」表Ⅲ-2-1 年齢階級別家計支出(単身世帯)-2017年- P38

インターネット費用

マンションやアパートの場合、インターネット費用は月々3,500円~5,000円程度です。物件によっては、インターネット使用料金が家賃に含まれていて別途支払う必要がない場合や、逆にインターネットを開通させるための工事費用を別途負担する必要がある場合などもあるため、事前に確認しておく必要があります。

回線工事をする際には大家さんに許可をもらう必要があります。万が一、大家さんの許可が下りなかった場合には、モバイルルーターやホームルーターなどの工事が要らないタイプのインターネット回線を利用してください。

管理会社指定の入居者向けサービス会員費用

管理会社指定の入居者向けサービスの会員費用として、「24時間サポート」や「安心サポート」などの費用がかかる場合もあります。
主なサービス内容としては以下の通りです。

  • キッチンなど水回りの水漏れやトイレの詰まり
  • 鍵をなくした場合の解錠
  • 電気やガスのトラブル

生活するうえで発生する様々なトラブルをサポートしてくれます。基本的に出張費や一定範囲内の作業は無料で、費用は依頼するたび発生することはありません。金額の目安としては、2年契約で15,000円前後が多いです。

町内会費など

町内会費は、町内会の活動資金として収集されるものです。自治会費とも呼ばれます。相場としては自治会によりますが、月額200~2,000円程度が一般的です。

支払いに関しては法的に強制されるものではありませんが、支払わないと不便がある可能性もあるでしょう。

参考記事:一人暮らしの費用はどのくらい?生活費の目安や支出を抑えるポイントを解説

内見自体にお金は必要ありません

賃貸物件では、原則として賃貸契約をしてから初期費用が発生します。つまり、申込書を出して内見したとしてもお金はかからないのです。例えば、内見をしてから気が変わり申込をキャンセルしたとしてもキャンセル料はかからないのが一般的。もちろん、オンライン内見も一般的には無料です。

内見のための交通費などの実費は自己負担

自己負担の代表例としては交通費が挙げられます。例えば、東京都の賃貸物件を神奈川県に住んでいる方が内見する場合、神奈川のご自宅から東京都の賃貸物件を訪れるまでの交通費は自分で出さなければなりません。

内見後に賃貸物件の契約を申し込む場合

賃貸物件の契約を申し込む場合は、場合によってはお金が必要になる場合があります。

ごくまれに手付金が必要になる場合がある

賃貸契約では、契約が成立してから費用を支払うのが一般的です。しかし、ごくまれに申込金として賃貸契約の前に「入居の意思表示」のため支払うこともあります。

申込金は「申込証拠金」もしくは「預り金」とも呼ばれます。申込金(申込証拠金・預り金)の相場としては、10,000円から家賃1ヶ月分程度です。

申込金は契約金の一部に充当されるものですから、無駄に支払うものではありません。しかし、審査に通って賃貸契約を締結したにもかかわらず入居せず解約する場合には戻ってこないことが多いので注意しましょう。もちろん、契約締結前にキャンセルした場合には全額戻ってきます。

OHEYAGO(オヘヤゴー)では、手付金、申込金共に不要です。

内見にかかるお金まとめ

基本的に内見する際に費用が発生することはありません。希望する物件を何軒案内してもらってもすべて無料です。ただし、交通費などは自己負担となることが多いです。

また、内見がいくら無料だとしても、いろいろな物件を見て回るには時間と労力がかかるもの。効率よく内見するためにも、あらかじめ家賃や初期費用などをリサーチし、希望物件を絞ってから不動産会社に相談するとよいでしょう。

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この記事を書いた人
矢口ミカ
OHEYAGO宅建士ライター
矢口ミカ
フリーランスの不動産・就活ライター、宅地建物取引士。複数のメディアで執筆中です。家族が所有している投資用不動産の契約管理もしています。整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級など住まいに関する資格も保有。趣味は整理収納と時短料理で主婦ライフも楽しんでいます。
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