一人暮らしのガス代は月いくら?都市ガスとプロパンガスの違いや、節約の方法をご紹介

公開:2023/07/13
更新:2023/11/02
一人暮らしのガス代は月いくら?都市ガスとプロパンガスの違いや、節約の方法をご紹介
ガス代の値上がりによって家計が圧迫されるため、政府は2023年1月から「電気・ガス価格激変緩和対策事業」という負担軽減策を打ち出しました。そこで、一人暮らしで賃貸アパートやマンションに入居している方や検討している方にとって気になるガス代に注目し、都市ガスとプロパンガスの違い、ガス代節約について解説します。

一人暮らしのガス代

ガス代

ガス代はそれぞれのガス会社や地域によって異なります。一人暮らしのガス代の目安として、厚生労働省が2023年2月に公表した「家計調査」の家計収支編を参考に平均料金を見てみましょう。

出典:厚生労働省 家計調査 家計収支編 1世帯当たり年間の品目別支出金額

一人暮らしのガス代の平均

一人暮らしの2022年度平均年間ガス代は3万9971円(勤労者世帯が3万7496円)です。1ヶ月当たりの平均ガス代は3536円、勤労者世帯は3225円、勤労者以外の世帯3789円(うち無職世帯3688円)でした。勤労者世帯と勤労者以外の世帯を比較すると、後者のほうが500円前後高いです。ただ、この金額については個人差があるという前提ではあるものの、自宅にいる時間が勤労者以外の世帯のほうが多く、その分、ガスを利用する機会が多いことも理由のひとつといえるでしょう。

一人暮らしのガス代の平均(季節ごと)

季節ごとの平均ガス代は下記のようになっています。 冬が最もガス代が高く、夏が安くなっていますが理由として、お冬は風呂への給湯やシャワーの水温を上げる必要があるからです。

季節 金額
1月-3月 3,892円
4月-6月 3,387円
7月-9月 2,345円
10月-12月 2,777円

出典:厚生労働省 家計調査 家計収支編 1世帯当たり1か月間の収入と支出

一人暮らしのガス代の平均(地方ごと)

地域ごとのガス代の平均は下記のようになります。

規模 金額
大都市 3,199円
中都市 3,528円
小都市・町村 3,353円

また、地方で見ると、下記のようになります。地域では金額が高いのは北海道・東北地方、つづいて九州・沖縄となっています。 お住まいのエリアと比較すると一つの指標になるかと思います。

規模 金額
北海道・東北 3,704円
関東 3,224円
北陸・東海 3,404円
近畿 3,395円
中国・四国 2,899円
九州・沖縄 3,481円

一人暮らしのガス代は使用するガスによっても異なる

ガスは都市ガスとプロパンガスがあり、どちらを利用しているのかによってガス代も異なります。一般的には、都市ガスよりプロパンガスのほうが料金は高く、都市ガスを利用できるのであればそのほうが毎月のガス代を節約することが可能です。ただ、プロパンガスにも都市ガスにもメリット、デメリットがあります。その点も見極めたうえで選択するのがおすすめです。さらに、ガス会社によって基本料金自体が異なり、契約プランもそれぞれ独自のものが用意されている会社もあります。契約プランを見直すだけで毎月のガス料金が節約できるケースもあるので、比較することが大切です。

プロパンガスのほうが高い理由

都市ガスよりプロパンガスのほうが高くなる理由はさまざまです。主なものとしてガスボンベを設置する必要があるため、配送・設備点検や配送スタッフの人件費などにコストがかかる点が挙げられます。ほかには、ガス代に基本料金、従量料金以外に供給設備費が加えられているケース、ガス会社の都合で料金を値上げできる、ガス会社を選べることを知らない人が多いなども主な理由です。

都市ガスとプロパンガスの違い

都市ガスとプロパンガス

都市ガスとは

都市ガスは燃える気体であるメタンが主な成分で、日本では海外から液化天然ガス(LNG)を輸入して使用しています。無色・無臭のガスですが、万が一に備えてガスとわかるニオイをつけているのが特徴です。また、空気より軽いことからガス漏れ警報器を天井付近に設置する必要があります。メタンは162度まで冷やすことで液化し、600分の1の体積になるので液化すると大量に運びやすくすることが可能です。一般的に、都市ガスは地下に通したガス管から都市部を中心に供給しています。

都市ガスのメリット・デメリット

都市ガスのメリットはプロパンガスと比較して安い点が挙げられます。また、地下のガス管からガスを供給しているため、各家庭にボンベを設置する必要がありません。あまり広い敷地がなくても、都市ガスであればボンベを置くスペースの問題がないので安心です。ただ、初期費用が高くかかるのはデメリットといえるでしょう。ボンベで提供していないため、地下にガス管が通っていなければ、まずはガス管工事が必要になります。災害時に復旧が遅い点もデメリットです。

プロパンガス(LPガス)とは

プロパンガスはプロパン・ブタンが主な成分で、液化石油ガス(LPG)を使用しています。一部ではLPガスと呼ばれているものがありますが、こちらもプロパンガスのことです。プロパンガスは空気より重いのが特徴で、燃焼率も都市ガスと比べて高いことから高温度で調理する場合は料理店などに導入されていることもあります。液体化したガスが入ったボンベを設置して供給するのが一般的です。

プロパンガスのメリット・デメリット

プロパンガスのメリットは、ガスボンベを設置してもらうだけで供給される点が挙げられます。そのため、初期費用が都市ガスよりもかかりません。しかも、導入しやすいこともあり、全国どこででも利用されています。災害時の復旧も早いです。一方、デメリットはボンベを設置する必要があるので戸外にスペースが必要な点、都市ガスよりも料金が高い傾向がある点となっています。

都市ガスとプロパンガスの見分け方

都市ガスとプロパンガスの見分け方がいまいちわからない人もいるのではないでしょうか。賃貸でも戸建てでも、次のことを参考に見分けられます。

検針票の形を確認する

都市ガスの検針票は横長、プロパンガスの検針票は縦長のものが使用されています。

ガス漏れ警報器が設置されている位置

ガス漏れ警報器が設置されている位置を見るのも、どちらが使用されているのかわかりやすい方法です。空気より軽い都市ガスの場合は天井に近い壁、プロパンガスは空気より重いので床に近い壁に設置されています。都市ガスのガス漏れ警報器は天井から30cm以内で、ガスレンジから水平距離で8m以内に設置しなければならないルールです。一方、プロパンガスの警報器は床から30cm以内でガスレンジから水平距離で4m以内の位置に設置されています。

ガスホースの色やシール

室内にあるガスホースもチェックしてみましょう。都市ガスのホースは白色、プロパンガスのホースはオレンジ色です。ガスコンロやガスメーターに貼ってあるシールでも見分けられます。都市ガスには「12A」もしくは「13A」、プロパンガスには「LPG」というシールが貼ってあるのでわかりやすいです。「都市ガス用」「プロパンガス用」と明確に記載されたシールもあります。

ガスボンベの有無

プロパンガスの場合は、家の外にガスボンベが必ず設置されています。そのため、都市ガスかプロパンガスかを見分けるにはガスボンベの有無を確認するのが最も簡単な方法です。都市ガスはガスボンベを設置する必要がありません。戸建て住宅は家の外側の壁付近を確認すればガスボンベが確認できます。集合住宅の場合は複数本のガスボンベがまとめて設置されており、フェンスなどで囲まれているケースが少なくありません。

ガス代の計算方法

都市ガスもプロパンガスも、毎月の検針で確認した使用量をもとに計算されています。ガス料金の計算式は「基本料金+従量料金」です。従量料金は「短料金×毎月の使用量」を指し、ガス料金に内消費税等相当額を加えた金額が毎月のガス代として請求されています。

都市ガス料金の計算一例

都市ガスは都市部で供給されているため、東京ガスを例に挙げてみますと、基本料金は0~20㎥までで759円です。単位料金はその月々で異なりますが、2023年7月検針分の場合で1㎥当たり158.87円となっています。1カ月当たりのガス使用量を10㎥とすると、計算式は「基本料金759円+(158.87円×10㎥)=2347.7円」です。

出典:東京ガス ガス料金表 東京地区等

プロパンガス料金の計算一例

石油情報センターが2023年4月に発表したプロパンガスの相場は、東京都の場合、基本料金が1862円、使用量が10㎥で8018円です。1カ月のガス料金は「基本料金1862円+従量料金8018円=9880円」になります。都市ガスと比較して、同じ使用量でもプロパンガスのほうが7000円以上高い結果です。

出典:石油情報センター 最新価格情報 LPガス月別 東京都

ガス代を節約する方法

ガス代の節約

ガス代の節約方法(お風呂編)

1日の疲れをほぐす意味でも、お風呂はゆっくり入りたい人は多いかもしれません。ただ、ガス代が高くなってしまう原因のひとつとしてお風呂が挙げられます。お風呂でもすぐに実践できる節約方法を試してみましょう。

湯船にお湯を溜める回数を減らす

お風呂にお湯を溜める際にかかるガス料金は、都市ガスで約54.61円、プロパンガスで約107.60円です。毎日お風呂にお湯を溜めて入る場合、単純計算で1カ月(30日と設定)で都市ガス1638.3円、プロパンガス3228円もかかってしまいます。追い焚きする場合もガス料金がかかるため、お湯を溜める回数を減らすだけでもガス代の節約につなげることが可能です。

シャワーをこまめに止める

シャワーを使用している間もガスを使用するため、身体を洗っている間や洗髪中はシャワーを止めるなど、こまめにお湯を止めることが大切です。また、節水シャワーヘッドに付け替えるのもひとつの方法です。節水シャワーヘッドはガス代と同時に水道代の節約にもつながるので一石二鳥といえます。ただ、使用中に水圧が弱くなる、お湯がぬるくなるといった面もあるので、その点も考慮して選ぶのがおすすめです。

シャワーの温度を下げる

温かいシャワーは気持ちよいものですが、シャワーの温度を1度上げるためにかかるガス代は1分で約0.2円かかってしまいます。そのため、シャワーの温度を普段より1度下げて使用するのもおすすめの方法です。

ガスの契約プランを見直す

ガス会社によっては、電気代とガス代がセットになっているプランが用意されています。セットになっているので、料金自体がガス代のみで契約しているよりお得です。毎月の支払額に応じたポイントを付与されるものもあります。セットプラン以外にも、さまざまな条件に合わせたプランを用意しているガス会社は多いので確認してみましょう。

湯船に溜めるお湯の量を減らす

お湯の量が多いほどガス代が高くなります。湯船いっぱいにお湯を溜めるとゆったりお風呂を楽しめるかもしれません。しかし、肩までしっかりつかってしまうと、心臓に負担がかかってしまいます。身体に負担をかけないという面も含めて、湯船に入れるお湯の量を控えめにするのがおすすめです。普段より控えめにお湯を入れ、実際につかって量の調整をしてみましょう。

ガス代の節約方法(キッチン編)

自炊することが多い場合は、キッチンでガスを利用する際の節約も大切です。

出典:資源エネルギー庁 家庭向け省エネ関連情報 無理のない省エネ節約 キッチン

電子レンジで料理の下ごしらえをする

野菜を茹でたり、煮たりするときにはあらかじめ電子レンジで柔らかくするという段階を踏むと時短になりますし、野菜が崩れにくいです。また、肉を焼く際もフライパンで焦げ目をつけてから電子レンジで中まで熱を通せば、ガス代を節約できます。

鍋やフライパンの水滴はしっかり拭いてから使用する

複数ある場合は別ですが、さまざまな料理をする場合、鍋やフライパンを料理ごとに洗って使用しなければなりません。その際に濡れたままで火にかけると、その水滴を乾かすためにガスを多く使用する必要があります。使用する前にしっかり水滴を拭き取っておけば、ガス代を節約することが可能です。鍋は平らな底のほうが熱の伝導率が高いので、より節約につながります。

鍋やフライパンから火がはみ出ないように火力調整する

資源エネルギー庁によると、鍋やフライパンを火にかけるときには火が鍋やフライパンからはみ出ないように火力調整をするだけで、年間2.38㎥の節約になることがわかっています。

お湯の使用量を減らす

お風呂同様に、お湯を使用するほどガスを使用することになります。そのため、無理のない程度にお湯の使用量を減らすのがガス代節約に有効です。たとえば、水では落ちにくい油汚れはお湯で洗い、それ以外のものは水で洗うなど工夫できます。お湯を沸かす際には時短できる電気ケトルを利用するのも有効な方法です。

ガス代の節約方法(契約先編)

毎日のガス節約をする以外に、場合によっては契約するガス会社を変更することでもガス代節約につながります。2017年4月からガスの自由化が開始されており、プロパンガスだけではなく、都市ガスでもガス会社を各家庭で選択できるようになりました。ガス会社の基本料金を比較してみるなどして、無理のない範囲で節約できるようにしましょう。

まとめ(ガスの契約プランを見直して節約)

2023年は食品、日用品、ガソリンや電気代などさまざまなものが値上がりしています。ガス代も例にもれず値上がりしました。契約しているのが都市ガスかプロパンガスかによって毎月の料金が異なります。一般的に、都市ガスよりプロパンガスのほうが高いです。ただ、契約プランを見直せば、どちらを利用していてもガス代を抑えられる可能性があります。ガス会社によって基本料金や用意しているプランが異なるので、まずは比較してみましょう。      

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