賃貸の退去時にこれだけは知っておいて欲しい!退去の流れや費用について
- 賃貸を退去する流れと手続き
- 賃貸の退去にかかる費用って何がある?
- 賃貸退去時の原状回復費用を国交省ガイドラインに沿って解説
- 賃貸退去時に原状回復費用を支払う場合と支払わない場合
- まとめ
- セルフ内見ならOHEYAGO(オヘヤゴー)
【動画】知っておくべき退去の流れについて
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賃貸を退去する流れと手続き
それでは、賃貸を退去する流れや手続きについて、全体の流れを紹介していきます。賃貸を退去する流れは以下のとおりです。
- 契約書で退去通知の時期と方法を確認する
- 退去連絡(退去通知)を不動産屋さんや大家さんにする
- 退去の立ち会い日時を決定する
- 退去の立ち会い前にやるべきことを済ませておく
- 退去の立ち会いで部屋の状況をチェックされる
- 鍵を返す
- 敷金などを精算する
契約書で退去通知の時期と方法を確認する
引越しが決まった、あるいは引越しをする予定ができたら最初に確認しておきたいのが退去通知の時期と方法です。
退去通知とは、その名のとおり大家さんや不動産屋さんに賃貸を退去することを伝えることを言います。なぜこれが必要なのかと言うと、急に部屋が空いてしまうとその間に大家さんは家賃収入がないからというのが理由の1つです。
不動産屋さんとしても、新しく入居者を見つける手続きやハウスクリーニングの手続きなど、やることが多いため急に退去されても困るのです。
具体的には、賃貸借契約書にある「解約の申し入れ」や「明渡し」「原状回復義務精算等」などの条項を確認します。すると、次のような内容が記載されているはずです。
- 契約期間中又は期間満了時に本契約を解約・終了使用とする場合は、1ヶ月前に甲に書面で申し入れなければならない。
- 又1ヶ月分の賃料等を支払うことにより、即時に本契約を中途解約することができるものとする。
- 明渡しは本物件の鍵を郵送又は持参により管理会社に返却することで行うものとし、鍵の返却をもって明渡しが完了したものとする。
- 乙は、通常の使用に伴い生じた本物件の損耗を除き、本物件を原状回復しなければならない。
この時点では、いつまでに誰に対してどのように退去を連絡しなければいけないのかを確認しましょう。基本的には退去通知は退去の1ヶ月前までに行わなければいけない場合がほとんどですが、まれに2ヶ月前までの場合もあるので注意しましょう。原状回復義務について、詳しくは後述します。
退去連絡(退去通知)を不動産屋さんや大家さんにする
契約書の内容を確認したら、記載された方法で退去の連絡をしましょう。もし遅れた場合には、想定外の家賃支払いをしなければならないこともあるので注意が必要です。
退去の立ち会い日時を決定する
退去連絡を電話でしたなら、その場で退去の立ち会い日時を調整することがあります。退去の立ち会い日時は部屋を空っぽにした日で調整しましょう。
具体的には、引越し業者が荷物を運び終わった後に少し余裕を置いたくらいが良いでしょう。不動産屋さんの立ち会いの前に、自身で再度掃除や確認ができます。
退去の立ち会い前にやるべきことを済ませておく
退去の立ち会い前には、やるべきことを済ませているか確認しましょう。具体的には次のようなものです。
- 電気やガス・水道の解約手続き
- 市区町村への転出届
- 郵便物の転送届
退去の立ち会いで部屋の状況をチェックされる
退去の立ち会い日時になったら、不動産屋さんと一緒に部屋の状況をチェックします。
なぜこのように退去時の立ち会いが必要かと言うと、部屋の汚れやキズなどの状態を確認するためです。もしこのときに一定以上の汚れやキズなどがあると、原状回復費用としてお金を支払わなければならないこともあります。
ただし、契約内容によっては退去時の立ち会いが不要なケースもあるようです。
鍵を返す
立ち会いが終われば、その物件の鍵を返却します。返却方法は立ち会い時に直接渡す場合や、郵送する場合があります。
なお、問題がなければ鍵を返却した時点で物件の明渡しが完了という形になります。
敷金などを精算する
退去が完了したら、基本的には契約時に初期費用の一部として支払った敷金などを精算します。敷金は原状回復費用に充てられるものであるため、原状回復費用の負担割合や金額が決まってから精算するのです。具体的には、下式のように敷金の精算を行います。
- 還付または請求される金額 = 敷金 - 入居者負担の原状回復費用 - 未納の家賃など
つまり、もし入居者負担の原状回復費用などが敷金よりも高ければ、その分を請求されてしまいます。逆に、敷金が残ればその分が後日還付されます。
また、契約書に「退去時には居室のハウスクリーニング代は借主負担」と特約で明記されている場合は原状回復費用と併せて請求されます。次の賃貸物件の契約の際には確認しておきましょう。
関連記事:法律の専門家が教える、賃貸借契約書のここを見るべし3つのポイント
賃貸の退去にかかる費用って何がある?
ここまでは、賃貸の退去にかかわる手続きとその流れについて解説してきました。以降では、賃貸の退去にかかる費用について解説します。
賃貸の退去にかかる費用は、大きく分けて次のとおりです。
- 退去するまでの家賃
- 敷金でまかないきれない原状回復費用(修繕費用)
退去するまでの家賃
当然、退去連絡をすればその日から家賃がかからないというわけではありません。鍵を返却して明渡しが完了するまでの家賃は支払わなければなりません。
とは言え、多くの場合で家賃は前払いとなっています。そのため、もし契約終了時の家賃が日割り計算される場合は家賃が返金されます。(大東建託など)
例えば、3月分の家賃を2月末に支払っている人が3月15日に退去すると、残り15日分程度の日割り家賃が返金されるのです。
敷金でまかないきれない原状回復費用(修繕費用)
賃貸の退去にかかる費用として、多くの人が心配するのがこの修繕費用です。少し専門的に言えば、原状回復費用と呼ばれます。
原状回復費用とは、経年により物件の価値が減少した分のうち、故意・過失・注意義務違反などにより、通常使用を超える損耗や毀損を復旧する費用のことです。
わかりやく言えば、入居者の責任で生じた一定以上のキズや汚れについては、入居者がその分の費用を負担するということです。
実際にいくらくらいかかるのかについては、原状回復すべき度合いによって異なります。
賃貸退去時の原状回復費用を国交省ガイドラインに沿って解説
賃貸退去時の原状回復費用については、入居者と不動産屋さんもしくは大家さんとの間でトラブルが生じやすい問題です。さらに、退去する入居者としては心配になる費用でしょう。そこで、原状回復費用について、国土交通省が取りまとめているガイドラインに沿って詳しく解説していきます。
参照:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
原状回復費用の分担などについては、賃貸借契約書の内容が優先される
まず認識しておきたいのが、違法である場合を除き、すでに締結している賃貸借契約書の内容が優先されるという点です。つまり、いくら国交省のガイドラインで定められていたとしても、賃貸借契約で入居者側が負担することがはっきりと記載されていれば入居者の負担は免れません。
少し難しい話ですが、賃貸借契約は、契約締結をするかしないかなどの自由があるうえで同意し締結したものです。したがって、裁判所や国家が干渉(邪魔)できるものではありません。この原則は契約自由の原則と呼ばれます。
そのため、国交省のガイドラインがどうであれ、すでに同意締結している契約の内容が優先されるのです。
したがって、原状回復費用でトラブルに発展しないためには、退去時ではなく契約時に注意が必要です。
原状回復費用については、賃貸借契約書のなかで定められていますし、重要事項説明書でも記載があるはずです。具体的には次のような項目に注意して確認します。
- 重要事項説明書の「敷金等の精算に関する事項」
- 重要事項説明書の「特約事項」
- 賃貸借契約書の「原状回復義務精算等」
- 賃貸借契約書の「別表(原状回復の条件について)」
なお、契約内容によっては「故意過失による破損・汚損単価表」として原状回復費用の料金表が定められている場合があります。(ミニミニなど)
自然な経年劣化や通常損耗は家賃に含まれているとされている
以降で紹介する内容は、国交省が取りまとめている「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の内容を紹介していきます。
このガイドラインでは、自然な経年劣化や通常損耗は家賃に含まれているとされています。つまり、キズや汚れも通常の範囲内であれば原状回復費用の支払いは必要ないのです。
具体的に、どのようなものが通常の範囲内として捉えられるのかについては後述します。
故意や過失・注意義務違反などは借り主の負担とされている
一方で、故意や過失・善管注意義務に違反しているキズや汚れについては入居者が負担するべきとされています。
善管注意義務とは、一般的な注意を払って保管や使用をしなければならないという義務です。「善良なる管理者の注意義務」を略して善管注意義務と呼ばれます。
こちらについても、具体的な例は後述します。
グレードアップとみなされるものは貸し主の負担とされている
ここで言うグレードアップとは、古くなった設備を最新のものにするなどのことです。このような場合は、貸し主である大家さんなどの負担とされています。
経過年数と比例して負担割合を減少するべきとされている
経過年数と比例して負担割合を減少するべきというのは、新しいものを壊したときより古いものを壊したときのほうが修繕費用の負担は小さくするということです。経年劣化は家賃に含まれているため、経年劣化で価値が下がった分については別途負担する必要はないのです。
厳密には減価償却という考え方を採用しており、例えば購入時に10万円のエアコンは6年後に1円の価値になっているという考え方です。そのため、10万円のエアコンを6年後以降に壊してしまった場合でも、満額10万円の負担をするのはおかしいとされています。
ただし長い期間使えるものや、逆に経年劣化が激しいものは対象外です。例えば、フローリングや襖紙などです。
また、新築物件ならこの考え方を適用できますが、新築物件ではない場合は難しいところがあります。この場合、入居年数で代用するべきだとガイドラインではまとめられています。
それでは、以降でガイドラインで定められている設備の耐用年数を紹介します。耐用年数とは、価値が1円になるまでの年数と考えられます。つまり以降で紹介する設備は、その耐用年数を経過すれば入居者側は費用を負担する必要はありません。
ただし、善管注意義務を怠っていた場合は費用を負担しなければなりません。
耐用年数が5年のもの
- 流し台
耐用年数が6年のもの
- カーペットやフローリング
- 壁紙(クロス)
- エアコン
- ストーブ
- インターホン
耐用年数が15年のもの
- 便器、洗面台等の給排水・衛生設備
- 主として金属製の器具・備品
参考:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」
賃貸退去時に原状回復費用を支払う場合と支払わない場合
原状回復費用について解説してきましたが、具体的にどんなものが入居者が負担すべきキズや汚れなのかについて紹介していきます。
ただし、以降で紹介するのは国交省のガイドラインに沿った考え方です。事前に契約書などで定めがある場合は契約書が優先される点を頭に入れておきましょう。
退去時に原状回復費用を支払う場合
- 飲み物をこぼした放置してできたシミやカビ
- 冷蔵庫下のサビを放置した
- ひっかき傷
- 落書き
- 不注意で雨が部屋に入ってできた畳やフローリングの変色
- キッチンのひどい油汚れ
- タバコによる変色や臭い
- 下地ボードの張替えが必要なほどの壁の穴(重量物をかけた穴)
- クーラーの水漏れによる壁の腐食
- ペットによる傷や臭い
- 鍵をなくした
- 放置して成長した庭の雑草
退去時に原状回復費用を支払わない場合
- 畳の表替え
- フローリングのワックスがけ
- 家具設置による床やカーペットのへこみ
- 畳の日焼けでの変色やフローリングの色落ち
- テレビや冷蔵庫の裏の電気ヤケ(黒ずみ)
- 画鋲の穴
- ポスターを貼った跡
- エアコンのビス穴や跡
- 雨戸の張替え
- 災害で破損したガラス
- ハウスクリーニングや消毒
- エアコン洗浄
- 鍵の交換
参考:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」
まとめ
今回は賃貸の退去について、退去の流れと退去する際にかかる費用について解説してきました。
賃貸を退去するときには、契約書で定められた時期と方法で退去連絡をすることが重要です。「1ヶ月前に書面で通知」とあったら、いわゆる退去届を記入して不動産屋さんに返送しなければなりません。住民票の転出届や各種ライフラインの手続きは忘れずに行っておきましょう。
また、退去時に支払うべき費用として原状回復費用というものがありました。原状回復費用は、入居時の状態に戻すための費用ではなく、通常のキズや汚れを超えるものに対して、その分を修復するために支払うべき費用です。
原状回復費用の負担を抑えるためには、契約時に契約内容を確認することに加え、善良な注意をもって部屋を使用することが重要です。
ぜひ、本記事をスムーズに退去を進める際の参考としてください。
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