専門家直伝!賃貸借契約書の読み方と注意点を分かりやすく各項目ごとに解説

公開:2021/02/24
更新:2023/06/12
専門家直伝!賃貸借契約書の読み方と注意点を分かりやすく各項目ごとに解説
理想のお部屋が見つかったら、次はいよいよ契約です。 重要事項説明を受け、大家さんもしくは管理会社との間で「賃貸借契約書」を取り交わせば賃貸借契約は成立です。 しかし、賃貸借契約書は専門用語が多く、中にはトラブルになってしまうケースもあります。 この記事では、賃貸借契約書について詳しく知りたいという方のために、専門家から「賃貸借契約書の正しい読み方や見るべき3つのポイント」を紹介します。

賃貸借契約書とは

賃貸借契約書とは、物件を借りる際に大家さんと交わす契約書のことです。
国土交通省が配布をしている『賃貸住宅標準契約書 平成30年3月版・家賃債務保証業者型』を参考にして、各項目の読み方や書き方の注意点等を確認していきましょう。

参考:国土交通省『賃貸住宅標準契約書について』

賃貸借契約書の各項目の読み方と注意点

①物件情報・設備

国土交通省
賃貸住宅標準契約書より物件情報・設備の部分を抜粋

  • 建物名称
  • 所在地
  • 構造
  • 築年数
  • 間取り
  • 面積
  • 設備

などが記載されています。借りようとしている物件と情報が同じかどうかを確認しましょう。

賃貸借契約書の設備における注意点

設備で「有」となっているものは、通常の使用によって故障した場合には修理費用は大家さん負担になります。「無」となっていたら故障をしても補償はありません。

お部屋を見学した際に室内にあった設備が「設備」もしくは「残置物」であるのかを確認しておきましょう。「残置物」は使用しても構いませんが、故障をした場合は設備でないと大家さんに修理をしてもらえませんし、自分が退去する時に処分しなければいけない場合もあります。

よくある残置物の主な物としては以下のものがあります。

  • エアコン
  • ガスコンロ
  • 照明器具

使用しない場合にはその旨を相談して、入居するまでに撤去してもらいましょう。
駐輪場、バイク置き場、宅配ボックスなど共用施設の有無も確認しておく必要があります。

②③契約期間・賃料

国土交通省 賃貸住宅標準契約書より契約期間の部分を抜粋 国土交通省 賃貸住宅標準契約書より賃料の部分を抜粋

契約期間や賃料について、一般的に記載されているものは以下のとおりです。いつまでにどのような方法で支払うのか、家賃自動引落の利用可否などを確認しましょう。

  • 賃料
  • 駐輪場など付属施設の使用料
  • 契約期間
  • 支払方法
  • 支払い先

賃貸借契約書の契約期間・賃料等に関する注意点

基本的に賃貸借契約の期間は2年契約で、2年ごとに更新する必要があります。更新料や手数料がかかる場合もあるため、契約時にしっかりと確認しておきましょう。

以下については、賃料とともに請求される可能性があるか確認が必要です。

  • ケーブルテレビ代
  • インターネット代
  • 使用した分を家賃と一緒に請求される水道代
  • 使用した分を家賃と一緒に請求される電気代

④貸主・管理会社の連絡先

国土交通省 賃貸住宅標準契約書より貸主・管理会社の連絡先の部分を抜粋

貸主・管理会社・所有者(貸主と建物の所有者が異なる場合)などの連絡先に関する情報が記載されています。
以下のようなアクシデントやトラブルなどの際にはどこに連絡をしたら良いのかを確認しておきましょう。

  • エアコンが故障したなど、設備トラブルがあった場合
  • 上の部屋の入居者が夜中にうるさいので注意してもらいたい場合
  • 契約を更新・解約したい場合

⑤借主・同居人

国土交通省 賃貸住宅標準契約書より貸主・同居人の部分を抜粋

借主、同居人、緊急連絡先の名前・年齢・電話番号などが記載されています。

⑥連帯保証人または保証会社

国土交通省 賃貸住宅標準契約書より連帯保証人の部分を抜粋 いわゆる保証会社の所在地と電話番号が記載されています。ここは保証会社ではなく連帯保証人が記載されるケースもあります。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が2018年に行った調査によると、保証会社の利用率は約75%で連帯保証人を立てるケースよりも圧倒的に多い結果になっています。

また、2020年4月1日に施行された民法改正により、連帯保証人を立てるには極度額の設定が必要になりました。そのため、保証会社を利用する割合は今後さらに増えることが見込まれます。なお、極度額とは保証人が担保する債権の限度額のことです。

⑦条文

条文における各項目の注意点は以下のとおりです。

  • 更新:更新料の他に更新事務手数料が別途かかる場合があります。
  • 解約について:解約通告期間。一般的には30日前(1ヶ月前)ですが、中には40日前や2ヶ月前通告という物件もあります。
  • 違約金:解約時の違約金等があるかなど、違約金の有無や発生する場合の条件などを確認しましょう。
  • 禁止事項:ペットの飼育について、楽器の演奏について、石油ストーブの使用などです。違反した場合は退去を求められることもありますので事前にしっかりと確認をしておきましょう。
  • 特約:個別の取り決めなどは後になってトラブルにならないように必ず特約に入れておきましょう。

⑧別表

退去時の原状回復に関する費用(修繕費)の負担について記載してあります。
国土交通省が定めたガイドラインがありますので事前によく読み、原状回復と敷金返還に関する特約が不利な内容になっていないか確認をしておくと良いです。

参考:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)

条文は専門用語が多く、字も小さく記載されているのでとても読みづらいです。しかし、契約後に変更や修正を指摘しても、基本的には契約書の内容が優先されてしまいます。トラブルを避けるためには、まずはじっくりと条文を読み、疑問に思ったことは契約前に質問をして解消してから契約書に署名・捺印をするようにしましょう。

賃貸借契約書の注意点をまとめると

契約後に後悔することにならないよう、以下についてしっかりと確認しておきましょう。

①トラブルになりそうな契約内容はないかを確認

以下のようなトラブルになりそうな項目をを下記に挙げておきますので、しっかりとチェックをした後に契約をしましょう。
また、重要事項説明で受けた説明と相違や漏れがないか、以下の点についても確認しておきましょう。

  • 設備、附属施設の有無、残置物の確認
  • 入居中の修繕に関する項目
  • 変更時の通知義務に関する項目
  • 原状回復、敷金精算に関する項目
  • 特約の内容に漏れはないか
  • 禁止事項の内容と範囲

特に、魚や爬虫類、犬猫の大きさなどのペットに関する項目や、楽器の種類等はトラブルに陥りやすいので注意しましょう。

②契約期間と支払い条件を把握

  • 契約期間
  • 賃料等の支払い条件と金額
  • 普通借家か定期借家か
  • イレギュラーな支払いは存在していないか

③解約条件・更新条件を確認

  • 部屋を退去(解約)をする際の予告期間は何日前通告か
  • 違約金の有無
  • 更新する際の更新料、更新事務手数料の有無や金額を確認

賃貸借契約書が必要な理由

ここでは、賃貸借契約書の意味合いを、重要事項説明書との違いとあわせて説明します。なぜ賃貸借契約書が必要なのか確認していきましょう。

賃貸借契約書の意味合い

  1. 貸主・借主との間で合意した契約内容を明確にできる
  2. 裁判等になった場合などに証拠にできる
  3. 問題点の有無を第三者でも客観的に検討できる

両者で合意した内容を明確することにより、誤解を防げます。
また、両者間でトラブルとなり、裁判となった場合は契約内容を証明する証拠となります。合意した契約内容に法律上の問題点があるのかを第三者でも客観的に検討できます。

重要事項説明書との違い

上述のとおり「賃貸借契約書」とは、物件を借りる際に大家さんと交わす契約書のことで、物件を借りた証拠を残すために作成する書類です。
これに対し、「重要事項説明書」とは、不動産仲介会社で契約をする前に、借主が契約内容の最終確認をするために受ける「重要事項説明」に使用する書面です。「重要事項説明」は、宅地建物取引士が借主に対して宅地建物取引士証を提示したうえで、物件に関する概要や重要な事項を説明し、最後に署名・捺印をします。

この重要事項説明は契約前に行いますので、疑問点や契約書と食い違う点などがあった場合には遠慮なく質問しましょう。

そもそも賃貸借契約とは

そもそも賃貸借契約とは何であるのか、わからない方も多いと思います。ここでは契約の流れや必要な書類および契約金、2020年4月1日施行の民法改正によって変わったことなどを述べていきます。

賃貸借契約と賃貸借契約書の違い

「賃貸借契約」とは大家さんと借主との間で賃貸借に関して交わす「この物件を借りる」という合意に基づいた約束のことで、「賃貸借契約書」とは、交わされた賃貸借契約の内容が記載された書面のことをいいます。

賃貸借契約の流れ

賃貸借契約の締結は、不動産会社の店舗や事務所などで行われます。契約書の内容を最終的に読み合わせ、署名・捺印をします。
気に入った物件が見つかってから契約までの流れは以下のとおりです。

気に入った物件が見つかる

入居申込書に記入をして申込

大家さん・管理会社などによる入居審査

宅地建物取引士による重要事項説明

重要事項説明書に署名・捺印

賃貸借契約書を提示

賃貸借契約書に署名・捺印・契約金の支払い

契約締結

鍵の引き渡し

以下の記事で賃貸借契約の流れについて詳しく解説しています。

関連記事:有資格者が教える、賃貸借契約の流れとは

契約手続きで必要な書類と契約金とは

契約時必要な書類と契約金の一般的な例を挙げておきます。漏れがあると鍵を引き渡してもらえませんので、契約時までに必ずそろえておきましょう。

① 必要な書類

一般的に契約手続きで必要な書類は以下のとおりです。ただし、必要な書類は物件ごとに多少異なる場合もあると覚えておきましょう。

  • 契約者の身分証明書
  • 在籍を証明する書類(保険証・採用証明・合格通知・学生証)
  • 契約者のシャチハタ以外の認印
  • 住民票(入居する全員分)
  • 契約者・連帯保証人の収入を証明する書類(源泉徴収票・納税証明書)
  • 家賃引落口座用の通帳と銀行印
  • 連帯保証人の印鑑証明書
  • 連帯保証人承諾書

② 契約金は振込のケースもある

契約金に含まれる、いわゆる「初期費用」に含まれているものは以下のとおりです。契約金は契約当日に現金で持参することもありますが、最近は事前に指定口座へ振り込むよう依頼されることも多くあります。

  • 敷金
  • 礼金
  • 仲介手数料
  • 火災保険料
  • 前払い賃料
  • 鍵交換費用
  • 家賃保証会社利用料

民法改正によって賃貸借契約はどう変わった?

2020年4月以降の賃貸借契約は、120年ぶりの民法改正により今まで曖昧だったルールが明確化・明文化されました。改正された項目を以下に挙げます。

【賃貸借契約継続中のルール】

①設備修繕に関する要件の見直しと明確化
借りている部屋の配水管が詰まったなど、日常生活に支障をきたすような設備の不具合が起こった場合でも、大家さんの都合によってすぐに修繕してもらえないケースなどがありました。民法改正前では、どのような場合に入居者が自分で修繕できるのかという規定がなかったのです。改正後の民法では、借主が大家さんに対して修繕が必要である旨を通知して、大家さんが把握したにもかかわらず一定期間に必要な修繕をしてくれな場合や急迫の事情があるときには、入居者が目的物を修繕できるようになりました。

また、民法改正前は設備が故障して使えなくなった場合、「賃料の減額を請求できる」というルールがありました。しかし民法改正後は、「その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて賃料は減額される」という強い表現になりました。

②建物の所有者が変わった場合のルール明確化
民法改正前は、建物の所有者が変わった場合に、新しい所有者が入居者に家賃の支払いを求める明確なルールがありませんでした。改正後の民法では、不動産の所有権移転登記がなされていれば、登記簿上の新しい所有者が新オーナーとなり、賃料の請求ができると明確になりました。

【賃貸借契約終了時のルール】

①入居者の原状回復義務に関するルールの明文化
民法改正前では、これまで国土交通省のガイドラインによって運用されていた原状回復のルール(原状回復の範囲について、通常損耗及び経年変化は含まれない)が不明確で曖昧でした。改正後の民法では、入居者は入居後に生じた損傷について原状回復義務を負うこと、通常損耗や経年変化については原状回復義務を負わないことが明文化されました。

②敷金に関するルールの明確化
民法改正前では、敷金の定義や敷金返還請求権の発生時期について規定がありませんでした。しかし改正後は、敷金の定義と敷金返還に関するルールが明確化しました。

【賃貸借契約から生ずる債務の保証に関するルール】

民法改正前では、連帯保証人が負う支払いの責任には上限が明確になっていませんでした。しかし改正後は「債務極度額の明記」が義務付けられました。

参考:法務省『賃貸借契約に関するルールの見直し』

まとめ

賃貸借契約書は、専門用語が多く、チェックしなければいけないポイントもたくさんありますが、正しく読み解くことでトラブルを未然に防げます。不明な点は何となくで終わらせず、遠慮せずに質問をして内容を充分に理解したうえで契約を結ぶようにしましょう。

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この記事を書いた人
小泉 寿洋
OHEYAGO宅建士ライター
小泉 寿洋
1部上場グループに属する管理会社にて賃貸仲介、賃貸管理を約14年経験。その後、仲間と起業した不動産・建築会社の経営を経て、現在はフリーランスで賃貸経営のコンサルティングや終活カウンセリング等を行っています。保有資格は宅地建物取引士・AFP・賃貸不動産経営管理士など。現場経験を活かした記事を書いています。
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