分譲賃貸とはどんな物件?トラブルはあるの?メリット・デメリットを解説

公開:2021/03/24
更新:2023/05/17
分譲賃貸とはどんな物件?トラブルはあるの?メリット・デメリットを解説
賃貸物件を探していると見かけることも多い「分譲賃貸」。全戸賃貸用のマンションに比べて、建物の構造や設備のグレードが高いというイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。しかし他の賃貸物件同様、デメリットもあります。 本記事では、分譲賃貸の特徴や契約・居住する上でのメリットとデメリットを解説します。これらの特性を理解してから物件探しをすることで、後悔やトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

そもそも分譲賃貸とは?

分譲賃貸とは、何かしらの理由で賃貸市場に出されている分譲マンションの一部屋を指します。全戸が賃貸向けに貸し出されている「一般的な賃貸マンション」は一棟丸ごと同じ所有者であることが一般的ですが、分譲マンションは部屋ごとに所有者(オーナーさん)が異なっています。そのため、分譲賃貸ではそれぞれの部屋のオーナーさんから物件を借りることになります。

どうして分譲マンションを賃貸に出しているの?

分譲マンションは、主に以下の二つに分けられます。

  • 所有者の居住を前提に造られているもの
  • 投資用物件として造られているもの

しかし、一般居住用を前提に売り出された分譲マンションを投資目的で購入し、賃貸経営をする投資家もいることを覚えておきましょう。
では、具体的に「なぜ分譲マンションが賃貸物件として市場に出されているのか」について解説します。

何らかの事情で一時的にその物件に住めなくなってしまった場合

投資目的ではなく居住目的で購入された物件の場合、賃貸に出されている理由の大半は、「転勤のようなやむを得ない事情で一時的に部屋を空けることになったため」です。

分譲マンションを購入する際は、多くの人が住宅ローンを組むことでしょう。転勤になったからと言って毎月のローン返済が中断することはありません。また、長期間空き家にすれば、部屋そのものが劣化してしまいます。このため、部屋を貸して得られる賃料をローン返済に充てることや部屋の劣化を防ぐことを目的として、所有者の不在期間中に部屋を貸し出しているのが一般的です。

そもそも投資目的で購入した物件である場合

投資目的で購入した物件であれば、主要な収益源であるインカムゲインを得るために賃貸へ出すことは当然と言えるでしょう。一般の分譲マンションの場合は、オーナーさんが投資目的で所有しているからと言って、設備のグレードが下がることは考えにくいです。

一方で投資家向けに造られた分譲マンションの場合は、建設コストを抑えている可能性が高く、必ずしもグレードが高いとは言い切れないので注意しましょう。インターネット上では、投資家向けに造られたものも一括りに「分譲マンション」と表示されているため、詳細については不動産屋さんへ直接問い合わせることをオススメします。

分譲マンションが魅力的と言われる理由

一般的な賃貸マンションに比べて、分譲マンションの方が建物や構造がしっかりしていたり、設備のグレードが高かったりと、高級感のある造りになっていることが多いでしょう。また、セキュリティ面が整っていることや、共用部分が清潔に保たれていることも分譲マンションの特徴と言えます。

マイホームの購入希望者がターゲットだから

マンションディベロッパーが一般居住者向けの分譲賃貸を販売するとき、ターゲットとされるのは自己の居住用として購入を検討している人です。マイホームを購入するとなれば、建物の構造や設備、専有部分や共用部分の仕様にこだわる人が多いのは言うまでもありません。

多くの購入希望者を募るために、最新設備を導入したり魅力的な仕様やサービスを整えたりすることが多いでしょう。そのため、一般的な賃貸マンションと比べて高級感があったり、贅沢な造りになったりします。

マナーの良い住人が多いから

分譲マンションには、マンションの区分所有者で構成される自治組織が存在します。通称「管理組合」と呼ばれるこの組織では、マンション独自のルールを定めたり、共用部分の維持管理を行ったりします。つまり、各居住者は日頃からマナーある行動を求められているのです。

全戸賃貸の物件では、同じ建物内に住んでいても住民同士で話をする機会はあまりないでしょう。しかし、分譲マンションのように長く住む人が多かったり、ファミリー世帯が多かったりする物件では住民同士のコミュニケーションが取られる機会も多く、結果として住みやすい環境がつくられているのも魅力の1つと言えます。

分譲賃貸マンションのメリット・デメリット、トラブルについて

一見、魅力的な部分にばかり目が行きそうな分譲賃貸ですが、他の賃貸物件同様、メリットもあればデメリットもあります。メリットとデメリットをあらかじめ把握しておくことは、物件選びに役立つことはもちろん、後々のトラブル回避にも繋がるでしょう。

分譲賃貸のメリット

収益性を重視して建てられた一般的な賃貸マンションと大きく異なるのが、建物の構造や設備、サービスの充実度合いです。これらのグレードやサービスの高さによって快適な暮らしを手に入れられるのが、分譲賃貸マンションに住む最大のメリットではないでしょうか。分譲マンションはあくまでも、所有者が長く居住することを前提に造られていることがほとんどであるため、「あったら嬉しい」設備や機能が備わっていることも多いでしょう。

防音性、耐震性が優れている

一般的な賃貸マンションに比べ、マイホームの購入希望者向けに造られた分譲マンションは建物の造りがしっかりしています。当然、どのマンションも建築基準法や耐震基準を守っていることに変わりはありません。しかし分譲マンションは、それらに加えてコンクリート壁を厚くして防音性や遮音性を高めていたり、横揺れや繰り返しの地震に強いとされる免震構造を採用して耐震性を高くしたりしているケースが多いでしょう。

建物の構造に関わる部分については、マンションが建てられた年代や時期によっても強度や造りが異なる可能性があるため一概には言えません。しかし分譲マンションでは、これらのメリットを有した物件が探しやすいと言えます。

ハイグレードな設備

分譲マンションは、システムキッチンやユニットバス、温水洗浄便座などの設備が建設時点における最新モデルであることがほとんどでしょう。最近では食器洗浄機や浴室乾燥機、床暖房が標準装備として付いている物件が多いため、一般的な賃貸物件では享受できなかった利便性や居住性の向上を図ることができます。

共用設備として、24時間ゴミ出しが可能な敷地内ゴミステーションや宅配ボックスが備えられている物件も多いです。また、これらを含めた共用スペースが管理人さんや清掃員さんによって常に清潔な状態に保たれていることも魅力の1つではないでしょうか。

防犯性に優れている

防犯カメラやオートロックはもちろんのこと、管理人が常駐・常勤している物件も多く、セキュリティ面も安心です。また、玄関の鍵が防犯性の高いディンプルキーであったり、エレベータにフロアカット(訪問先のフロア以外は停止しない)機能が備わっていたりと、分譲マンションは一般的な賃貸物件に比べて防犯性が優れていると言えるでしょう。

分譲賃貸のデメリット

一般的な賃貸マンションと比較し、メリットばかりに感じられる分譲賃貸ですが、当然デメリットもあります。デメリットを理解した上で物件探しをすることで、契約前後のトラブルを防ぎましょう。

賃料が比較的高い

分譲タイプの賃貸マンションは、その安全性や快適性、防犯性やサービスレベルの高さゆえに賃料も高いケースが多いです。また、所有者が投資家であるか否かを問わず、賃料の値引き交渉は難しいと言えるでしょう。この理由としては、「所有者はローンを組んで物件を購入していることが多く、月々のローン返済額をベースに所有者自身が賃料を設定しているから」ということが挙げられます。

期限付き契約の場合がある

所有者が転勤などの一時的な不在期間に部屋を賃貸している場合は、その契約期間に限りがある可能性が高いです。契約期間の定めがない普通賃貸借契約に対し、契約期間に定めがあるものを「定期借家契約」と呼びます。

定期借家契約は、基本的に「契約の更新がなく、期間満了をもって契約が終了する」「原則として借主からは中途解約ができない」という性質を持っています。当然、「契約期間=居住希望期間」であれば問題ないですが、後から困ることがないように契約の種類や期間については注意をするようにしましょう。

尚、定期借家契約の物件の中には、その性質ゆえに賃料が相場よりも低く設定されているものもあります。つまり、賃料が比較的高いとされる分譲賃貸を「お得に借りられるチャンスがある」と考えることもできるでしょう。

物件数が少ない

賃貸マンションの総数に対して賃貸市場に出ている分譲賃貸マンションの物件数は少ないため、一般的な賃貸マンションに比べて選択肢が少ないのが実情です。そのため、人気がある物件は早い者勝ちとなることも多いでしょう。

オーナーさんの知識不足によりトラブルが発生することも…

そもそも賃貸することを前提にマンションを購入した人でない場合は、不動産の知識が限定的である場合がほとんどです。したがって、無事に賃貸借契約が成立しても認識や見解の不一致が原因で、後からトラブルが発生することもあります。

特にトラブルが多いものとして挙げられるのが、「退去時の原状回復」についてです。原状回復とは、「借主の故意や過失による汚損や破損は、退去時までに借主負担で修繕すること」を意味します。他方、通常使用の範囲内での経年劣化や自然損耗に該当するものは貸主負担とすることが一般的です。

ところが不動産知識のないオーナーさんの中には、退去時は「貸した当初の状態に部屋が戻っているもの」と考えている人もおり、原状回復費用を巡ってトラブルとなるケースがあります。また、マンション管理規約と賃貸借契約書の記載内容に相違がある場合も注意が必要です。

関連記事:賃貸を退去する前に知っておくべき退去の流れや費用について

憧れの分譲賃貸に住むためには

家賃や条件が折り合うのであれば、一般的な賃貸マンションではなく「分譲賃貸に住みたい」と思う人も多いのではないでしょうか。そんな憧れの分譲賃貸マンションをインターネット上で探す方法やトラブルなく契約・居住するための注意点をご紹介します。

分譲賃貸はインターネットで検索も可能

分譲賃貸マンションを探すには、住みたい地域の不動産屋さんに問い合わせたり、訪問をしたりすることも有効ですが、まずはインターネット上で探すのが効率的です。近年のお部屋探しは、不動産ポータルサイトや賃貸情報サイトで物件検索をするところからスタートする、という人が多いでしょう。

これらのサイトでは、物件検索の際にまず建物の種別を「マンション」「アパート」「一戸建て」などから選択します。ここでマンションを選択するだけでは、分譲賃貸以外も含まれてしまいます。したがって、詳細条件の中にある「分譲賃貸」を選択することで分譲賃貸のみを表示するようにしましょう。

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必ずしも「分譲賃貸=良い物件」ではない

一般居住向けの分譲マンションも投資家向けに造られた分譲マンションも、どちらも分譲マンションであることに変わりはありません。ところが投資家向けのものは、その構造や仕様、設備などのグレードが必ずしも高くない可能性があります。

これらの詳細な情報はインターネット上や募集図面上では確認が難しいため、直接不動産屋さんへ問い合わせると良いでしょう。また、内見をすることで写真だけでは分からない情報を確認することも非常に大切です。

契約書の内容や管理会社の有無は要確認!

契約後のトラブルを防ぐためには、契約書の確認が不可欠と言えます。トラブルが発生した際には、契約書に記載されている内容に基づいて解決するのが一般的です。特にトラブルの原因になりやすい以下の項目については、「契約書に記載があること」や「内容が借主に対して著しく不利になっていないこと」を契約前に確認するようにしましょう。

  • 契約期間や契約の種類
  • 更新の有無
  • 原状回復の費用負担
  • 各設備の修繕費用負担
  • マンション管理規約との相違点

また、貸主が不動産賃貸に不慣れの場合は特に、貸主と借主の間に不動産管理会社が入ることを確認しましょう。不動産管理会社は入居後の家賃集金業務に加えて、トラブル発生時の窓口の役割も担うため、もしものときも安心です。

まとめ

分譲賃貸とは、転勤のようなやむを得ない事情や投資目的で賃貸に出される分譲マンションの一部屋を指します。建物や設備のグレードが高く、快適な暮らしをもたらしてくれるのが大きな魅力でしょう。

魅力的な面ばかりに目が行きがちな分譲賃貸ですが、当然デメリットもあります。デメリットや注意点を把握することはとても大切です。これらのポイントを押さえながら物件探しをすることで、より理想に近い暮らしが実現するでしょう。

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この記事を書いた人
中條 ふみ
OHEYAGO宅建士ライター
中條 ふみ
銀行とメーカー勤務を経て、夫婦で不動産賃貸経営をする子育てライター。これまでに中古アパート、一棟ビル、戸建の売買や賃貸を経験。保有資格は、宅地建物取引士と2級FP技能士。 自身の経験を活かしながら、女性目線を盛り込んだ不動産関連記事や取材記事を多数執筆。
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