アパートとマンションの違いは?構造や設備、家賃の違いや特徴を解説

公開:2021/06/17
更新:2023/05/17
アパートとマンションの違いは?構造や設備、家賃の違いや特徴を解説
なんとなく分かっているつもりでも、「詳しくは違いが分からない」という人が多い、アパートとマンション。賃貸物件を探すというタイミングで、「どちらが自分の希望に合っているか分からない」という人もいるのではないでしょうか。 本記事では、アパートとマンションの違いを構造や設備、家賃の面から解説します。それぞれの違いや特徴をよく理解した上で、どちらが自分の希望に合うのかを知り、賃貸物件探しに役立てましょう。

アパートとマンションの違いとは

アパートとマンションの違いには明確な基準がないため、その区別の仕方は任意です。そのため、大家さんや不動産屋さんによっては、その違いに対する認識が異なることもあります。木造や軽量鉄骨造、鉄筋コンクリート造などの構造によって区別している会社もあれば、構造を問わず「3階建て以上のものはマンションとする」というように階数で区別する会社もあるのです。

アパートとマンションを明確に区別する法律はない

アパートとマンションを明確に区別する法律は存在しません。つまり、その構造や階数に関係なく、大家さんがネームバリューを重視して、木造2階建ての物件に「〇〇マンション」とつけることも問題ないのです。

日本ではどちらも集合住宅を指す言葉として定着しているアパートとマンション。2階建て以上の集合住宅が造られはじめた大正時代以降、しばらくは英語の”apartment”からとった「アパート」が集合住宅の代名詞でした。その後、当時の一般的なアパートよりもしっかりとした造りのものができ、差別化のために英語で豪邸を意味する「マンション」という呼称が用いられるようになった、という経緯があります。

アパートとマンションは構造で区別するのが一般的

一部の不動産屋さんや大家さんでは認識が異なる場合があるものの、一般的にアパートとマンションは建物の構造をもとに区別します。そのため、物件探しをする際もこの基準で考えると良いでしょう。建物の構造とは、柱・壁・床・屋根などの主要構造が何で構成されているかによって決まります。例えば、主要構造が木材で構成されている場合は木造、鉄筋とコンクリートを組み合わせた部材である場合は鉄筋コンクリート造です。

参考記事:「鉄筋コンクリート造」と「鉄骨造」はどう違う?特徴と選び方を解説

木造や軽量鉄骨造がアパート

木造や軽量鉄骨造の物件はアパートに分類されます。これらの構造は、工期が短いことや材料費が他の部材よりも安いことから、建築コストが抑えられているという特徴があります。そのためアパートは、家賃も比較的安い場合が多いでしょう。

なお、軽量鉄骨とは厚さが6mm以下の鋼材を指し、鉄骨造と呼ばれる際に用いられる重量鉄骨と区別されます。

鉄骨造や鉄筋コンクリート造がマンション

マンションに分類されるのが、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の物件。鉄骨と鉄筋コンクリートを組み合わせた、鉄骨鉄筋コンクリート造もこれに含まれます。

鉄骨造と鉄筋コンクリート造では、使用する部材も、構造も違います。したがって物件探しの際には、一括りにマンションから選ぶよりも、マンションの中でも鉄骨造が良いのか鉄筋コンクリート造が良いのかを検討する必要があるでしょう。

特に、分譲マンションを賃貸物件として貸し出している「分譲賃貸」の場合は、耐火性や耐震性、防音性に優れている鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造であることが多いです。鉄骨造の場合も、グレードが高いマンションであれば、耐火被覆を施したり防音壁を用いたりして性能が高められているでしょう。

※以降で記載するアパートとマンションは、上記の一般的な基準で区別したものとします

参考記事:分譲賃貸とはどんな物件?トラブルはあるの?メリット・デメリットを解説

アパートとマンションの構造以外の違いとは

アパートとマンションは、構造の他にも共用設備や居室内の内装・設備、家賃に違いがあります。これらは、賃貸物件探しの条件や選ぶ基準にもなりうるため、違いをよく理解しておきましょう。

共用設備の違い

アパートの共用設備は階段や外廊下、駐輪場など、マンションに比べて限定的です。物件によっては、専用のごみ置き場や駐車場もあるでしょう。あまりコストがかけられていないため、仕様にこだわりがあることはあまりなく、居住者が問題なく使える程度に留まることがほとんどです。

アパートでは、大家さんが自主管理をしたり、不動産管理会社が定期的に巡視や清掃をしたりするケースが多いでしょう。物件によっては管理が行き届いていないものもあるため、内見時は共用設備の確認も忘れずにすることをオススメします。

一方、マンションの共用設備で最低限揃っているものと言えば、エントランス、ロビー、エレベーター、廊下、ごみ置き場、駐輪場、駐車場など。アパートよりも設備の数が多く、その仕様は物件ごとに異なります。グレードが高くなるにつれて、廊下がすべて内廊下であったり、ごみ捨てが24時間可能であったりするなど、充実度が高くなるでしょう。

分譲マンションの場合は管理人や清掃員が常駐または常勤していることが多いため、常に敷地内が清潔に保たれています。設備の不具合発生時もすぐに対処されることが多いでしょう。

なお、バルコニーやベランダは消防法上、共用設備の一部とされています。これは、アパートでもマンションでも同様です。通常はその部屋の居住者のみの使用が許可されていますが、火災を始めとした災害時や緊急時は、居住者以外の通行が許可されるため、共用設備に該当します。

内装・設備の違い

一般的には、内装や設備面もマンションの方が優れていることが多いです。内装とは、居室内の壁や床、扉などを指し、設備はあらかじめ物件に備え付けられているコンロやエアコン、給湯設備などを指します。これらについては築年数やリフォームの有無、マンションの場合は分譲マンションであるか否かによっても、仕様やグレードが異なることを覚えておきましょう。

近年では、アパートにおいてもコンロやエアコン、追い炊き機能があらかじめ備わっている物件も増えてきました。築古物件であってもリフォームされて畳や押入がフローリングやクローゼットに変わっていたり、設備が新しくなっていたりする物件もあります。

賃貸専用マンションには、アパートにはない設備がついていることも。人気設備の1つである浴室乾燥機が付いている物件も増えてきています。

分譲マンションの内装では水回りや床に大理石が使われていたり、フローリングに高品質材が使われていたりと、アパートや賃貸専用マンションにはない仕様が見られます。防音性や気密性を高めるために玄関扉が厚かったり、窓が二重サッシになっていたりするものもあるでしょう。

家賃の違い

家賃はアパートの方が安く、マンションの方が高いのが一般的です。新築で駅徒歩5分のアパートと築30年で駅徒歩20分のマンションであれば、家賃が逆転する可能性もあるかもしれません。しかし、立地や広さなどが同じ条件下である場合は、マンションの家賃の方が高いでしょう。

マンションは家賃と同様に、駐車場代も高めです。共用設備の違いからも、アパートに比べて管理費が高くなることが多いでしょう。

アパートとマンションのメリットとデメリットとは

構造や設備、家賃などの違いから、アパートとマンションにはそれぞれメリットとデメリットがあります。メリットのみならずデメリットを把握することで、契約後に後悔のない物件選びをしましょう。

アパートのメリット

アパートのメリットは、家賃が安いことです。防音性や設備の良さよりも家賃の安さを重視する人は、アパートを選ぶと良いでしょう。家賃だけでなく、共益費や駐車場代、駐輪場代もマンションに比べて安いことが多いです。家賃が安ければ、契約時にかかる初期費用や契約を更新するごとにかかる更新料も抑えられるため、経済的とも言えます。

特に、木造の場合は通気性が良いため、結露やカビが発生しにくいというメリットがあります。さらに、木材が空気中の湿気を適度に吸収したり放出したりしてくれることによって部屋の中が乾燥しにくい、ということもメリットとして挙げられるでしょう。

アパートのデメリット

アパートのデメリットは、気密性や耐火性が低いことです。木造や軽量鉄骨造は構造上どうしても隙間ができてしまったり、壁や床そのものが薄かったりするため、気密性が低くなります。これによって、防音性や冷暖房効率が低くなってしまうこともデメリットに含まれるでしょう。

また、燃えやすい木材や熱に弱い鉄骨が建物の主要部材であるため、耐火性が低くなってしまいます。ただし、木造や軽量鉄骨造であっても耐火構造になっているものもあるため、気になる人は不動産屋さんに問い合わせてみると良いでしょう。

マンションのメリット

マンションのメリットは、耐震性や耐火性、防音性、防犯性が高いことです。マンションは高層であるものも多いですが、その分コンクリート杭を地下深くまで打って、基礎をしっかりさせています。また、免振構造を採用している物件が多いでしょう。なお、1981年6月1日以降に建築確認をしたすべての建物については新耐震基準が適用されており、震度6~7の揺れに耐えられるように造られています。

鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションでは、壁や床にコンクリートが流し込まれていることによって耐火性や防音性が高くなっています。外からの騒音や隣近所の生活音や話し声もほとんど聞こえないため、より快適に暮らせるでしょう。

ただし、必ずしもすべてのマンションの防音性が高いとは言い切れません。隣の住戸との間にある戸境壁が180mm未満である場合には、防音効果が低いとされています。隣の住戸からの騒音に悩まされないよう、事前に不動産屋さんに壁の厚さを確認したり、内見時にノックをしたりして、高い音や軽い音が出ないことを確認すると良いでしょう。

オートロックはもちろん、共用部分の至るところに防犯カメラが設置されていたり、防犯性の高いディンプルキーや非接触キーが採用されていたりすることも多いため、セキュリティ面も安心です。物件によっては、特定階でしか停止しないフロアカット機能がついたエレベーターもあります。

マンションのデメリット

マンションのデメリットは、家賃が高いことと、気密性の高さゆえに結露やカビが発生しやすいことです。構造や設備のグレードの高さからも、家賃が高くなってしまうのは仕方ないでしょう。気密性は防音性の観点からは優れている反面、積極的に換気を行わないと湿気がこもりやすくなってしまうので注意が必要です。

その他のデメリットとしては、内装や設備のグレードの高さゆえに原状回復費が高くなりがちであることが挙げられます。例えば、同じように床を傷つけて張替えになった場合であっても、使用されている床が無垢材のように単価が高いものであれば、修繕の費用も必然的に高くなるでしょう。

参考記事:敷金と原状回復の関係とは?トラブル回避のために知っておきたいこと

アパートとマンションのどちらに住むか迷ったら

アパートとマンションのメリットやデメリット、それぞれの特徴や違いを理解したうえで決めかねている場合は、一度内見に行くことをオススメします。特に、賃貸物件に住んだことがない人やアパートかマンションのどちらかにしか住んだことがない人は、実際に物件を見ることでその違いが分かるでしょう。

また、物件探しにおける条件や優先順位を明らかにすると、どちらの方が自分の希望に合うか分かるだけでなく、その後の物件選びもスムーズです。最近では、インターネット上で気軽に問い合わせができるチャット機能を提供している不動産屋さんもあります。迷ったら、専門家に話を聞いてみるのも良いでしょう。

まとめ

アパートとマンションは、「木造と軽量鉄骨造のものをアパート」「鉄骨造と鉄筋コンクリート造のものをマンション」というように、構造の違いを基に区別をするのが一般的です。構造以外にも、アパートとマンションは共用設備や居室内の内装・設備、家賃において違いがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

これらの違いやメリット・デメリットと自分自身の希望条件を照らし合わせることで、アパートとマンションのどちらが自分の希望に合うのかが分かり、物件探しもスムーズになるでしょう。

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この記事を書いた人
中條 ふみ
OHEYAGO宅建士ライター
中條 ふみ
銀行とメーカー勤務を経て、夫婦で不動産賃貸経営をする子育てライター。これまでに中古アパート、一棟ビル、戸建の売買や賃貸を経験。保有資格は、宅地建物取引士と2級FP技能士。 自身の経験を活かしながら、女性目線を盛り込んだ不動産関連記事や取材記事を多数執筆。
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