定期借家は避けるべき?やめたほうがいいと言われる理由と隠れたメリットをご紹介
定期借家契約とは
まずは定期借家の概要、特徴について紹介します。
定期借家の特徴
一般に定期借家と呼ぶ場合、定期建物賃貸借制度を指しています。定期借家が導入されたのは2000年で、期間限定の契約を締結してアパートやマンション、戸建て住宅などの家を賃貸借する制度です。定期借家では5年や3年といった長期の契約だけでなく、数ヶ月といった短期間の契約もあり、基本的に大家さんが貸したい期間を設定します。契約満了後は更新がなく、再契約もできないケースが珍しくありません。定期借家の法的根拠は、良質な賃貸住宅などの供給の促進に関する特別措置法の第1条に定期建物賃貸借制度を設けることが定められており、借地借家法の第38条で定期建物賃貸借について規定されていることです。定期借家で更新をなしとするためには、契約書とは別の書面で更新しない旨を定めることと、当該書面の交付と説明が必要となっています。
借地借家法に定期建物賃貸借の規定がなければ、同法第29条第1項の規定により契約期間が1年未満の建物賃貸借は期間の定めがない契約とみなされるところです。しかし、第38条の規定により定期借家として1年未満の期間を定めることが可能となっています。
普通借家との違い
定期借家が普通借家と大きく違う点は、当該賃貸物件に住み続けられる保証がないことです。普通借家は日本のアパートやマンションの賃貸借契約では一般的な契約形態となっています。普通借家では借主の権利が強く保護されており、問題なく住んでいれば借主の希望による更新が可能です。数年先に退去しなければならないといった定めもありません。定期借家で住み続けるためには借主の希望だけでは足りず、大家さんとの合意が必要です。また、定期借家は公正証書等の書面による契約に限られている点も普通借家とは異なります。実務上は証拠が残らず水掛け論になってしまうリスクがあることから、普通借家でも書面で契約を締結するのが一般的ですが、法律上は普通借家は口頭での契約が可能です。
定期借家で募集されている理由
定期借家で物件が募集されている個別の理由はいくつかあります。どれも期間が限定されている点に関係するものです。長くは貸せないものの空室のままで無駄にしたくない、住宅という資産を有効活用したいといった思いが定期借家で募集されている主な理由だといえます。従来型の普通借家の場合、契約を継続しがたいと判断される正当な事由があれば別ですが、借主が希望する限り基本的には更新によって賃貸借契約が継続するため、所有者といえども大家さんの都合が優先されるわけではありません。どうしても出て行ってもらいたいなら、立ち退き料などの話にもなるでしょう。ここでは定期借家で募集されている主な理由を具体的に紹介します。
建物の建て替えや解体が予定されている
賃貸事業を行う大家さんの場合、大家さんにもよりますが所有する物件は新築から老朽化した物件までさまざまです。新築などで長く住んでもらいたい物件はともかく、数年後には大規模な修繕や建て替え、解体が予定されている物件となれば期間を限定した定期借家での募集が適しているといえます。
別の借主との契約が予定されている
いまは空室になっているものの、数ヶ月や数年先に家族など別の借主の入居予定がある場合なども普通借家では貸しにくいでしょう。更新を希望されれば拒絶は困難で、板挟みになってしまいかねない点などから定期借家で募集されるケースが多くなります。
海外赴任などの期間中だけ賃貸するため
住宅を貸し出しているのは賃貸を事業とする大家さんだけではありません。持ち家がある人が年数限定で海外赴任をすることになり、一家で引っ越す場合などの選択肢として、売却と並んで賃貸を選ぶケースがあります。このとき、普通借家にしてしまうと帰国したにもかかわらず、借主が出て行ってくれないため自分たちが住めないなどのトラブルになりかねません。定期借家なら帰国のタイミングに合わせて退去してもらう契約が可能です。
退去して欲しい借主との契約を容易に終了できる
契約中に借主に対して大家さんが何らかの不満を感じたとしても、普通借家の場合は正当な理由がなければ更新の拒絶は困難です。定期借家であれば、決められた期間の経過により契約を終了できます。逆に契約を続けたい相手であれば、双方の合意により再契約も可能です。
国の目線で見た場合
直接の理由ではないものの、国の目線で見た場合、良い賃貸住宅の供給アップが可能です。法令を整備して大家さんが貸しやすい環境を作っているのも、1つでも多くの賃貸住宅が市場に出ることにより、住宅事情の改善や国民の多様なニーズに応えるためだといえます。
定期借家の注意点・デメリット
定期借家を利用するにあたり注意しておきたい点、デメリットについて紹介します。
再契約が難しい
定期借家は賃貸借の期間が限定されているため、契約満了後も住み続けたい場合は再契約をする必要があります。しかし、前述したとおり定期借家は契約が満了すれば退去することを前提とした契約です。有効な書面で更新しない旨の契約を締結している以上、大家さんが再契約に応じる可能性は高くないと考えられます。とはいえ、再契約できるケースがないわけではありません。普段の行動など、大家さんに与える印象によっても可能性は変わるでしょう。
契約途中での解約は原則不可
定期借家では中途解約が原則としてできません。契約として賃貸借の終了時期が決められているため、守る必要があるということです。もっとも、現実的には解約するしかないケースもあります。決められた終了時期の到来前に途中解約する場合、違約金の支払いが発生する可能性がある点に注意が必要です。ただし、居住目的で賃貸借している床面積200平米未満の物件で転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情が生じた場合は借地借家法第38条第7項により途中解約が認められます。解約を申し入れて1ヶ月が経過すれば契約終了です。また、大家さんとの合意が必要になりますが、契約の中に解約権を定めておくことで途中解約を可能にできます。
退去までの余裕がない
定期借家では契約期間の最終日まで住むことができますが、翌日は契約期間外のため退去している必要があります。したがって、引っ越し作業に時間がかかりそうなケースでは、早めの準備が必要です。また、引越しスケジュールによっては最終日よりも前に退去しておかないと、契約終了に間に合わないケースもあるでしょう。転居先が決まっていないと退去もできないため、計画的な行動が重要です。契約期間が1年以上の定期借家では、期間満了の1年前から6ヶ月前の間に大家さんから賃貸借終了の通知が行われます。
定期借家のメリット
定期借家で家を借りる場合には、デメリットだけでなくさまざまなメリットがあります。
家賃を抑えられる
定期借家の物件は相場よりも賃料が安いケースが見受けられます。同種の物件に比べて家賃を抑えられるのは大きなメリットでしょう。家賃が安くなる理由としては、更新がなく再契約が難しいといったデメリットを考慮した家賃設定が行われることや、建て替えや解体までの短い期間だけ空室を埋められればそれで良いと考える大家さんの存在などが考えられます。
隣人トラブルも期間限定
隣人トラブルは定期借家に限った話ではありません。しかし、定期借家なら原則として契約期間が満了すれば退去することになります。どちらかが退去するまでの短い間だけのトラブルで済む可能性が大きい点もメリットです。
優良物件に住める
賃貸借可能な期間が短いといった理由で、普通借家では市場に出て来ない優良な物件に住める点も定期借家の大きなメリットです。たとえば、転勤などで家主が留守にすることになった新築間もないきれいな一戸建てや分譲マンションがあります。賃貸用の物件ではなく豪華な仕様で建築された住宅が選択肢になりやすい点も定期借家のメリットです。
一時的な住宅需要を満たせる
自宅の建て替えやリフォームをする期間中の仮住まいとして使える点も、定期借家で家を借りるメリットです。一般的な普通借家では2年契約が多いため、短期間の借家ニーズにはマッチしにくいといえます。定期借家で短期間が設定されている物件なら、一時的に借りるだけだからといった気兼ねは不要です。自分が必要としている期間に合致する物件が見つからない場合は、近い期間を提示している物件の大家さんと交渉してみるのも良いでしょう。
定期借家はこんな人にオススメ
定期借家のメリットやデメリットを理解することで、定期借家がどのような人にオススメできるのかがわかります。
定期借家がオススメの人
定期借家をオススメできる方の具体例です。該当する項目が多い人ほど、オススメ度が高いといえます。
・数ヶ月や1年といった短期間の住まいを探している人
・契約期間の長短にかかわらず期間満了で別物件に引っ越すなど退去することを決めている人
・家財道具など荷物が少なく引っ越しの負担が軽い人
・家賃を少しでも抑えたい人
・普通借家では見つけにくい優良物件に住みたい人
・終わりの見えない隣人トラブルを避けたい人
定期借家の選ぶ時の注意点
ひとくちに定期借家といっても、大家さんも違えば物件もさまざまです。失敗しないための物件選びや申込む際に意識すべきことを紹介します。
賃貸借物件としての品質をチェック
定期借家では短期間の契約が可能ですが、仮住まいだったとしても住宅としての品質は無視できません。契約期間が満了するまで問題なく住めそうな物件かどうかをチェックします。家賃や家にいる時間の長さなども考慮すれば、どこまでの品質を求めるかは個人の考え方によるでしょう。自分なりにOKといえるレベルを決めておくことが重要です。
契約条件をよく確認して交渉できる部分は交渉する
定期借家は更新がなく再契約が難しい契約ではあるものの、すべての契約がそうなっているわけではありません。前述のとおり、更新がない契約とするためには契約書とは別の書面で定める必要があります。再契約についても大家さんとの合意があれば可能です。途中解約が可能な契約にしておけば、急な転居が必要になったときに安心できます。また、家賃の増減に関する特約の有無にも注意しましょう。契約内容をよく確認するとともに、可能な限り希望に近付けるための交渉をすることが重要です。
再契約時には家賃が値上げになる可能性あり
定期借家で契約期間が満了した後に住み続けるためには、再契約が必要です。再契約と呼んではいるものの、前の契約は終了しているため実際には新規契約と大きく変わりません。大家さんとしては前回の契約条件に縛られないため家賃の値上げもできます。家賃が上がる可能性も踏まえたうえでの申込み判断が必要です。
定期借家を避けたい場合
定期借家を避けることは難しい
定期借家を避けたい場合を端的に表すなら、長く同じ物件に住みたいと考えていたり、いつまでその地域に居住するか予定が立っていなかったりする場合です。また、再契約による家賃の値上げリスクを回避したい場合もあります。ただ定期借家を避けたい場合でも、不動産屋の店舗で直接横断する場合を除き、定期借家のみを絞り込む機能があるサイトはほとんどなく、気に入った物件を見繕ってからそれがどのような契約形態か調べる流れとなります。例えば、スーモなど賃貸物件の掲載されているポータルサイトでは契約期間の項目に記載されていることがあります。
定期借家である割合はそもそもかなり少ない
実は、民間の賃貸住宅における定期借家の利用割合は極めて低い水準になっています。国土交通省住宅局が公表している「令和3年度住宅市場動向調査」によれば、2021年度(令和3年度)に定期借家制度を利用した借家は全体の1.9%です。2017年度(平成29年度)まで遡っても、毎年2%前後で推移しています。無回答が若干あるものの、普通借家が96%や98%など90%台の後半となっている事実と比べれば、その少なさがわかるでしょう。定期借家の利用が少ない背景には、認知度の低さや多くの借主にとって普通借家がマッチするといった事情が考えられます。実際に、賃貸物件探しで目にする物件はほとんどが普通借家の物件です。つまり、定期借家を避けたい場合の物件探しで特別なことをする必要はありません。条件の比較や内見を行って希望に合う物件を探しましょう。
よくある質問
定期借家は途中解約できる?
原則として、期間中の途中解約は不可となります。ただその背景は大家さんが決まった期間の賃料を得られなくなることが主な要因であるため 違約金として残存分の賃料を支払うことで例外的に解約できることもあります。また、他の解約手段として
定期借家契約は契約期間後も居座ると追い出しはある?
契約期間後も居座ると強制退去となります。基本的に借家契約は借主が立場上強く、立ち退きをさせるには正当事由や立ち退き料が必要です。 そのため退去するしないでトラブルになりがちですが、定期借家契約の場合はそのような正当事由や立ち退き料は不要となります。
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