家賃の目安は手取りの30%!目安設定の重要性や注意点を解説
- 家賃の目安は手取り額で考える
- 家賃が目安額を超えてしまったときのリスクとは
- 家賃とその他の生活費の関係
- 家賃の目安額を設定するときの注意点
- 目安の家賃で気に入る物件が見つからない要因とは
- まとめ
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家賃の目安は手取り額で考える
家賃の目安は、総支給と呼ばれる額面の金額ではなく、手取りの金額で考えます。生活費の中で占める割合が高いからこそ、あらかじめ自分の手取りに見合った家賃を把握しておくことが重要です。この考え方は賃貸物件の家賃に限らず、住宅ローンを組んでマイホームを購入した際に毎月支払う、返済額にも通じます。
そもそも「手取り」とは?
手取りは、総支給から住民税や所得税などの税金や、健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料が差し引かれたもの。生活をする原資となるお金であり、可処分所得とも呼びます。
手取りは、総支給の80%前後であることが一般的。手取り額で計算すべきところを総支給額で計算してしまうと、目安の金額が大きくなってしまうため、注意が必要です。
家賃は手取りの30%が目安
一般的に、家賃は「手取りの30%」が目安と言われています。この目安内に家賃が収まっていて、その他の生活費において過度な支出がなければ、金銭的に無理のない暮らしができるでしょう。
【家賃の目安額の計算例】
- 手取り25万円の場合:25万円×30%=7万5千円
東京の都心部など、家賃相場が高いところにおいては、この目安を超えた金額を支払っている人もいます。その場合は、他の固定費を下げたり、食費や交際費を減らしたりと工夫をしていることが多いでしょう。しかし、手取りに占める家賃の割合を安易に増やすことにはリスクが伴うため、オススメできません。
あくまでも、毎月の収入の中でその月の支出を賄えることが大切です。確実に支給される保証がないボーナスを当てにすることは控えましょう。残業代も同様に、毎月確実に収入が見込めるものではないため、上記の計算時の手取り額には含めません。ただし、見込み残業代として毎月安定的に支給されているものは含めても問題ないでしょう。
家賃が目安額を超えてしまったときのリスクとは
家賃が目安とすべき額を超えてしまった場合のリスクは主に3つです。これらのリスクを避けるためにも、目安を超えた家賃の物件を安易に契約することは避けましょう。
生活に支障が出る
手取りに占める家賃の割合を誤ってしまうと、生活そのものに支障が出る可能性が高くなります。特に、家賃や通信費、水道光熱費など固定費の支払いが滞った場合には、何かしらのペナルティーが発生することがあるため、気をつけなければなりません。
例えば、家賃を滞納すると契約書の記載内容に基づいて、遅延損害金が請求される可能性があります。家賃滞納は連帯保証人に迷惑をかけるだけでなく、長期化するときは、それを理由に立ち退きを求められることもあり得るので注意が必要です。
趣味や貯金にお金が回せなくなる
生活に余裕がなければ交際費や娯楽費にかけるお金を節約せざるを得ません。人付き合いが希薄になってしまうだけでなく、ストレスも溜まりやすくなってしまうでしょう。
また、貯金に回すお金もままならなくなってしまいます。急な支出に備えて、日頃から貯金をしておくことは大切です。少額であっても毎月一定額の貯金ができるように、家賃は目安を超えないように注意しましょう。
入居審査が通らない
自分の手取りに見合わない家賃の物件を選ぶと、「支払い能力がない」「滞納リスクが高い」と判断されて、入居審査が通らない可能性があります。せっかく希望に合う物件が見つかっても借りることができければ、物件探しをやり直さなければなりません。
多くの物件では、賃貸借契約を結ぶ前に入居審査をします。家賃滞納の発生リスクは重視される項目の1つです。申込書に記載された年収や勤め先、勤続年数などの情報を基に、大家さんや管理会社、保証会社が審査を行います。
家賃とその他の生活費の関係
毎月の手取りの中でやり繰りしなければならない、生活費。生活費に占める家賃の割合が高くなればなる程、その他の生活費を抑える必要が出てきます。つまり、家賃の増減はその他の生活費にも影響を及ぼすことを覚えておきましょう。
家賃以外の生活費とは
家賃以外の生活費とは、主に下記の項目を指します。これらの費用が毎月どの程度かかっているかを把握することは、家賃を考える上でも重要です。
- 食費:自炊するための食材費、テイクアウト代、外食費
- 日用品費:洗剤やトイレットペーパーなど、日々の生活で必要になる消耗品費や家具、寝具代など
- 水道光熱費:水道代と電気代、ガス代
- 通信費:携帯電話やインターネット(以下、ネット)の料金など
- 交際費:友人や恋人などと付き合うためにかかるお金
- 娯楽費:趣味のために使うお金
生活費に該当する項目としては上記の他にも、被服費や医療費などがあります。毎月必ずかかるものがある場合は、それらを含めて考えたり、1年間でかかる目安額を1ヶ月分に換算した金額を加味したりすると良いでしょう。
上記のうち、水道光熱費と通信費は家賃と同じく固定費、その他は変動費に該当します。固定費は毎月一定額の支払いが見込まれるものですが、変動費は毎月の支出額が異なるものです。上記の他に変動費に該当するものとしては、医療保険や生命保険などの保険料や新聞購読料があります。
一人暮らしでかかる生活費の目安とは
総務省統計局の調査によると、34歳以下の単身世帯において、家賃以外の生活費の支出額は1ヶ月あたり平均111,742円。
あくまでも目安の額ですが、家賃の他にも毎月約11万円の支出があると考えておくと良いでしょう。
つまり、手取り25万円の人が家賃7万5千円の賃貸物件に住み、その他の生活費として毎月約11万円の支出がある場合、約6万5千円が手元に残ることになります。
収支に余裕ができれば、貯金ができたり、余暇の充実を図ったりすることも可能です。
参照:総務省統計局「家計調査 家計収支編 単身世帯 年齢階級別(~34歳の全国の男女)2020年」
家賃の目安額を設定するときの注意点
家賃の目安額を設定するときは、「手取りの30%にすること」に加えて注意すべき点があります。これらのポイントを押さえておかないと、家賃が手取りの30%であっても、月々の支払いや生活に支障が出てしまうかもしれません。
共益費や管理費も含めて考える
「家賃」を考えるときは、共益費や管理費などの住居に関して毎月発生する、全ての費用を含めて考えましょう。共益費や管理費は、共用設備の管理や修繕、清掃にあてるための費用です。これらは、基本的にどの賃貸物件でもかかるものですが、その金額を家賃に含めている場合もあれば、そうでない場合もあります。
例えば、「家賃9万5千円、共益費5千円」と「家賃10万円、共益費0円」の物件では、家賃は異なりますが、毎月の支出額は同じです。大家さんとしても、総収入額は同じですが、入居者募集の際には、前者の方が10万円未満の家賃で検索をしている人たちに見られる可能性が高くなります。一方で、初期費用や更新料などの発生時に収入が大きくなるのは、後者。こうした点を加味しながら、共益費や管理費が家賃に含まれるか否かは、大家さんの意向で決まるのです。
なお、駐車場や駐輪場を借りていて、費用負担が毎月ある場合には、それらも含めて考える方が良いでしょう。
初期費用が支払えることを確認する
毎月家賃が滞りなく支払えることも重要ですが、契約時の「初期費用」が支払えるかという点も同じく重要です。初期費用には、敷金や礼金、仲介手数料、前家賃、火災保険料、家賃保証会社を利用する場合はその保証料などが含まれており、家賃の5ヶ月分相当額であることが一般的。例えば、家賃が7万5千円の場合は、37万5千円前後の初期費用がかかります。
また、契約更新の度に更新料がかかることも覚えておきましょう。賃貸借契約の契約期間は2年であることが多いですが、中には1年や3年のものもあります。更新料の相場は家賃の1ヶ月分です。これに加えて、更新事務手数料や火災保険の更新料、家賃保証会社の更新料も発生します。
つまり、家賃は手取りの30%が目安であるのと同時に、契約時や更新時のまとまった費用も問題なく支払える金額でなくてはならないのです。
目安は「上限」と考える
生活費のやり繰りに少しでも不安がある人は、手取りの30%が「上限」であると考える方が堅実です。「8万円程度」と曖昧にするよりも「8万円が上限」とあらかじめ決めておく方が、物件探しもスムーズでしょう。結果的に、「目安よりも高くなってしまった」ということも避けられます。
家賃以外の生活費や貯金に支障が出ないか確認する
手取りから家賃を差し引いた額で、家賃以外の生活費や貯金のためのお金を賄うことができるかは、事前に確認しておくようにしましょう。難しいようであれば、家賃を含め、個々の支出を見直す必要があります。場合によっては、家賃の目安を25%やそれ以下にする方が無難です。
また、毎月必ず一定額を貯金したい場合には、月々の貯金額を固定費と同様に考えると良いでしょう。「生活費に余裕がある月は貯金する」としても、思うように貯金ができないかもしれません。他方、家賃の目安を決める段階において必要な支出の1つとしておけば、毎月貯金をすることが可能です。
目安の家賃で気に入る物件が見つからない要因とは
家賃の目安が分かったら、ネット上で物件探しをします。ところが、いくら検索をしても「気に入る物件が見つからない」ということがあるかもしれません。その際、要因として考えられるのは以下の3つです。
希望エリアの家賃相場が目安と合っていない
希望エリアの家賃相場と目安とする家賃に差がある場合、物件の候補数は限定的であったり、見つからなかったりするでしょう。家賃相場は、エリアごとに異なります。賃貸物件探しをするときは、居住を希望しているエリアの家賃相場をあらかじめ把握しておくことが重要です。
大手不動産ポータルサイトでは、エリア別や最寄り駅別かつ間取り別の家賃相場を調べることができます。隣り合っているエリアであっても、数千円から場合によっては1万円以上の差があることもあるのです。家賃相場を把握することは、エリア選びのヒントにもなるでしょう。
希望条件が多すぎる
目安の家賃が希望するエリアの家賃相場に合っているにもかかわらず、気に入った物件が見つからない場合は、希望条件が多すぎる可能性があります。ネット上で物件探しをするときは、築年数や間取り、建物の構造、駅までの近さ、階数、設備などにおいて希望条件を決め、その条件を入力した上で候補を検索します。しかし、入力した条件が多ければ多い程、候補は少なくなってしまうのです。
効率よく物件探しをするためには、希望する条件を「絶対に外せない条件」と「あったら嬉しい条件」に分けたり、優先順位をつけたりする必要があります。まずは、外せない条件だけを入れて検索し、候補数を見ながら徐々に希望条件を増やしていくと良いでしょう。
エリアを絞りすぎている
エリアを絞りすぎているのも、物件候補を少なくしてしまう要因の1つです。エリアによって物件の供給数もラインナップも異なります。特定のエリアにこだわる必要がないのであれば、同じ沿線の別のエリアを探してみると良いでしょう。
まとめ
家賃の目安は、手取りの30%です。これを考慮せずに、自分の手取りに見合わない家賃を支払うことになれば、生活にも支障が出かねません。少しでも余裕のある生活をするためにも、この目安は覚えておくようにしましょう。
また、家賃が支払えても契約時の初期費用が支払えなければ、賃貸物件は契約できません。共益費や管理費を家賃に含めずに考えてしまったり、反対にボーナスや残業代を当てにしてしまったりすれば、当初の想定よりも負担が重くなってしまうリスクがあります。本記事で解説したポイントに注意しながら、自分にとって最適な家賃を決めるようにしましょう。
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