事故物件とは?定義や告知義務、確認ポイントを徹底解説

公開:2021/09/21
更新:2023/05/17
事故物件とは?定義や告知義務、確認ポイントを徹底解説
事故物件と聞いてネガティブなイメージを浮かべる一方で、詳しくは知らないという人も多いのではないでしょうか。事故物件に対する知識がない状態でお部屋探しをすると、「家賃の安さばかりに目がいき、知らず知らずのうちに自殺や他殺が発生した物件を契約していた」ということも…。 本記事では国土交通省が2021年10月8日に発表したガイドラインにそって事故物件の定義や告知義務を解説するとともに、契約前に確認すべきポイントを5つご紹介します。事故物件について正しく理解し、安心してお部屋探しをしましょう。

事故物件に関するガイドライン

2021年10月8日、国土交通省は事故物件に関するガイドラインを新たに制定しました。ガイドラインに法的拘束力はありません。しかしその位置づけは、宅地建物取引業者である仲介の不動産屋さんが不動産取引を行ううえで「判断基準とするもの」とされています。

ガイドライン制定前は事故物件の定義が定まっていませんでした。そのため不動産屋さんごとに事故物件の解釈や扱い方が異なっており、入居後にトラブルへ発展するケースもありました。こうしたトラブルの発生を防ぐために、実際の取引事例や判例を参考にしながらつくられたのが本ガイドラインです。

参照:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」

事故物件とは

ガイドラインによると、事故物件とは「自然死や不慮の事故死以外の死」や「特殊清掃が必要になる死」が発生した物件のこと。つまり、自殺や他殺が発生した物件や、自然死や事故死であっても特殊清掃が行われた物件が事故物件として取り扱われます。

自殺や他殺が発生した物件

ガイドライン制定前は、その死因や背景を問わず、過去に人の死が発生した居住用物件をすべて事故物件と呼ぶ不動産屋さんも多くいました。しかしガイドラインでは、その死が自然死や日常生活による不慮の死に該当する場合は、その事実を入居者や入居希望者に告知しなくて良いとしています。従来の曖昧さをなくし、自殺や他殺による死が発生した物件が事故物件に当てはまるとしたのです。

人はいつか亡くなるものであり、自然死の発生は特別なことではありません。特に高齢者の場合は、階段からの転落や浴室での転倒、誤嚥(ごえん)などによる不慮の事故が日常生活の中で起こる可能性は十分あります。このように、「日常生活の中で当然起こりうる死」については、不動産取引時の判断を左右する重要な要素ではないと認められました。

特殊清掃が行われた物件

自然死や日常生活における不慮の死であっても、特殊清掃が発生した場合は例外。入居者の死後、一定期間にわたって発見されなかった際には臭気や害虫を取り除くために、消臭や消毒を含む特殊清掃が必要になります。この事実は入居者の意思決定を左右すると考えられ、事故物件として取り扱われるのです。

「心理的瑕疵」がともなう物件

事故物件とは、「心理的瑕疵(かし)」がともなう物件とも言い換えられます。心理的瑕疵とは、不動産取引をするうえで入居や購入の意思を左右させうる、ネガティブな事象のこと。つまり、心理的瑕疵がともなう物件とは、心理的に「ここには住みたくない」と思わせるような、重大な欠陥があることを意味します。気に入った物件であっても、「前の入居者が居室内で自殺した」という事実を聞かされて入居を見合わせる、というのがその典型例です。

事故物件の告知義務とは

不動産取引の仲介業務を担う不動産屋さんには、入居希望者や購入希望者に対して「物件の瑕疵」を伝える義務があります。瑕疵の有無やその内容については重要事項説明書に記載のうえ、契約者には説明時に内容を伝えなければならないのです。

事故物件であるという事実を含め、重要事項に該当する事実の告知は、宅地建物取引業法という法律で定められています。例えば、仲介の不動産屋さんが事故物件であると知っていたにもかかわらず、入居者確保に不利になるからと、その瑕疵情報を意図的に隠して契約をさせることは違法です。こうした行為があった場合、仲介の不動産屋さんは入居者から不法行為に基づく損害賠償を請求されたり、宅建業法違反によって業務の一時停止や情状の重さによっては宅建業の免許が取り消されたりします。

一方で、仲介の不動産屋さんが事故物件であるという事実を知らないケースや、大家さんや管理会社に事実確認をしても明確な回答が得られないケースもあります。ガイドラインでは仲介の不動産屋さんに対して、大家さんや管理会社への確認以上の調査を求めていません。あくまでも仲介の不動産屋さんが把握できている内容について、不動産屋さんは告知義務をおっているのです。

事故物件の告知対象や告知期間

ベランダやエレベーターなどの共用部分も告知対象

アパートやマンションなどの集合住宅では、ベランダやエレベーターなどの日常生活を送るうえで使用する共用部分で起こった事案についても、ガイドラインでは告知対象としています。他方、同じ建物内の別部屋で起こったものや日常生活で通常使用しない共用部分で発生したものについては告知対象外です。

ガイドライン制定前は、共用部分で発生した事故や事件はその経過期間やその後の入居者の人数に問わず、一切告知されないケースもありました。しかし、日常的に使用する場所における事案の有無は住み心地にも影響を与えることから、告知対象として明記されています。

なお、ベランダは専有部分と思われがちですが、正しくは共用部分に該当します。ベランダが属する部屋(専有部分)の入居者に対して専有使用権が与えられているために、ある程度自由に使用できるのです。

告知期間は事案の発生からおおむね3年間

事故物件である旨の告知期間は、人の死が発生してからおおむね3年間。ただし、この期間は賃貸物件のみに適用されます。売買物件については取引事例や判例不足から、告知期間は定められていません。 なお、特殊清掃が行われた場合の告知期間は、その人の死が「発覚」してからおおむね3年間です。

一方で、人の死の発生や発覚から経過した期間や死因にかかわらず、以下に該当する場合は、3年間という制限を受けません。告知期間が過ぎていたとしても、仲介の不動産屋さんから入居者や入居希望者に対して情報が伝えられます。

  • 入居者及び入居希望者から問い合わせがあった場合
  • 社会的な影響の大きさから、入居者及び入居希望者が把握しておくべき特 段の事情があると認識した場合

つまり3年間という期間の経過にかかわらず、事故物件に住みたくない場合は、不動産屋さんに自らたずねることで過去の事故有無を確認できるのです。ただし、仲介の不動産屋さんが大家さんや管理会社に問い合わせた結果、「不明である」という回答を受けたり、無回答であったりした場合は、その旨がそのまま伝えられます。

事故物件には絶対住みたくない場合は、オーナーチェンジが行われていない物件や新築時から同じ管理会社が管理している物件を選ぶのも1つの選択肢。オーナーチェンジによって大家さんが変わったり、対応窓口となっている管理会社が変わったりする際に、情報の引継ぎ漏れが発生しないとは言い切れません。無回答や不明という回答を受け取ってモヤモヤする場合は、無理に契約しない方が無難です。

事故物件か見分ける5つの確認ポイント

ガイドラインが制定されたことで、事故物件である場合は不動産屋さんから何かしらの説明がされると期待できます。しかし、何度も利用して慣れ親しんだ不動産屋さんや顔なじみの担当者でなければ、100%信用できないと思う人もいるかもしれません。より安心してお部屋探しを進められるように、ここでは事故物件かどうかを見分けるための確認ポイントを5つご紹介します。

1.「瑕疵あり」「告知事項あり」の記載がないか

物件情報の備考欄や特記事項に「瑕疵あり」「告知事項あり」の記載有無は要確認ポイントです。入居者にとって心理的な瑕疵がある場合のほか、その物件に住むうえでの物理的瑕疵や環境的瑕疵がある場合などに、これらが記載されます。

物理的瑕疵物件とは、地盤沈下が進んで建物が傾いていたり、耐震強度に問題があったりと、建物そのものに欠陥がある物件のこと。環境的瑕疵物件は、物件の周囲に火葬場や墓地などの「嫌悪施設」があるものを指します。嫌悪施設には、暴力団事務所や刑務所、風俗店なども含まれます。

心理的瑕疵に限らず、何かしらの瑕疵があるという事実は、入居者にとってネガティブな情報です。ネット上の物件情報欄に「瑕疵あり」「告知事項あり」という記載があったとしても、詳細な内容までは記載されていないのが一般的。そのため、これらの記載がある場合は必ず問い合わせをして、詳細を確認しましょう。

2.条件が良すぎないか

他の物件に比べて明らかに条件が良い、家賃が安いという場合は、注意が必要です。特に、近隣の似たような条件の物件に比べて家賃が2割から3割程度、またはそれ以上に安くなっている場合は、それ相応の理由がある可能性も否めません。条件が良いにもかかわらず、建物全体で空室が多い場合も注意しましょう。

条件が良い物件であれば比較的早く入居者が決まることが多く、早々に掲載終了となってしまうのが一般的。ネット上に掲載しない場合もあります。

3.不自然な修繕箇所がないか

内見時には、物件内に不自然な修繕箇所がないか確認しておくのも大切です。例としては、居室内のフローリングや浴室内の一部のみが新しくなっている場合が挙げられます。明らかに色や新しさが違う部分を見つけた際には、修繕履歴やその理由をたずねてみると良いでしょう。

テレビや新聞などに出るような事件があった物件の場合は、外壁の塗装をし直して外観を変えたり、物件名を変えたりしていることもあります。外壁塗装や名称変更はオーナーチェンジにともなって行われる場合もありますが、少しでも気になる点がある場合には、不動産屋さんに確認しておくと安心です。

4.過去の入居者情報に不自然な点はないか

仲介の不動産屋さんにお願いをして、可能な範囲で過去の入居者情報を管理会社や大家さんにたずねてもらうのも良いでしょう。当然、個人情報やプライバシーに関わる内容は伝えられませんが、居住期間や転居理由、属性など、大まかな内容は教えてもらえる可能性があります。

前の入居者が退去してからの空室期間が長い場合は、その理由をたずねてみるのもオススメです。事故物件でない場合も、長期間入居者が決まらなかった理由によっては、入居を思い留まるかもしれません。

5.ネット上に情報が載っていないか

事故物件情報は、ネット上でも手軽に調べられます。「大島てる」というサイトが有名で、いつ頃どのような事案が発生したかという情報を地図上で確認することが可能です。ただし、居室番号までは分からないことや、実際に発生した全ての情報が掲載されているわけではないことを覚えておきましょう。

また、情報源は一般ユーザーの投稿によるものです。そのため、全ての情報が正しいものとは言い切れません。参考までに調べつつ、そのうえで不動産屋さんにたずねることをオススメします。

まとめ

2021年10月8日に国土交通省が「人の死の告知に関する新たなガイドライン」を発表しました。本ガイドラインによると、事故物件とは自殺や他殺による死のほか、特殊清掃が必要になる死が発生した物件のこと。その発生や発覚から3年が経過するまでは、入居者や入居希望者にその事実が告知されます。

法的拘束力はないものの、不動産屋さんが判断基準として参照するのが本ガイドラインです。入居者自身もこの基準を理解し、今回ご紹介したポイントを確認することで、安心してお部屋探しができるでしょう。

OHEYAGO(オヘヤゴー)ではお申込みをいただく時点で、管理会社や大家さんに心理的な瑕疵がないかを確認いたします。安心してご利用ください。

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この記事を書いた人
中條 ふみ
OHEYAGO宅建士ライター
中條 ふみ
銀行とメーカー勤務を経て、夫婦で不動産賃貸経営をする子育てライター。これまでに中古アパート、一棟ビル、戸建の売買や賃貸を経験。保有資格は、宅地建物取引士と2級FP技能士。 自身の経験を活かしながら、女性目線を盛り込んだ不動産関連記事や取材記事を多数執筆。
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