「フリーレント」とはどういう仕組み?そのメリットと注意点について
フリーレントとは
前述の通り、フリーレントとは、家賃が一定期間無料になる物件のことです。無料になる期間は物件によって様々ですが、1ヶ月に設定されている物件が多く、短くて数週間、長くて3ヶ月といったところです。最近の賃貸物件にはフリーレント物件が増えつつありますが、それでもまだ全物件の1割前後のみ対象となっているのが現状です。例として、スーモ、ホームズ、スマイティの三つのサイトにおける東京23区のフリーレント物件の割合を載せておくので参考にしてください。
- スーモ 約7.3%(105,125/1,121,467件)
- ホームズ 約6.7%(18,899/186,846件)
- スマイティ 約6.8%(18,310/247,819件)
(2023年3月9日現在)
しかし、家賃が無料となるフリーレントはお部屋を探す際に魅力的な条件かと思います。 アパートやマンションなど建物の種別や、ワンルームから4LDKなど間取りに関係なく家賃負担が少なくなるフリーレントについてみていきましょう。
どうして家賃が無料になるのか
物件がフリーレントとなっている理由は、決してその物件が「訳あり物件」だからというわけではありません。大家さんにとって一番困るのは自分の所有するアパートやマンションが空室であること。他の物件との差別化を図って物件を契約してもらうためにフリーレントをつけている場合が多いです。フリーレントでは最初の数ヶ月は家賃を回収できませんが、1年間空室期間があるよりも結果的にお得になるといった考え方です。
一方、「フリーレントにするなら家賃を安くすればよいのでは?」と思う人がいるかもしれませんが、そう簡単にはいきません。もし家賃を下げて募集をすれば、元々の入居者たちは不公平に感じ、自分たちの家賃も下げるように要求してくるかもしれないのです。フリーレントにすることで元々の入居者から不満が来ることなく、実質的な値下げをすることができます。
フリーレントのメリット
一定期間家賃を払わなくて済むフリーレントですが、最初の数週間〜数ヶ月間家賃が免除されることでお客さんにとって一体どんな良い点があるのでしょうか。ここではフリーレントの具体的なメリットについて説明します。
引越しの初期費用が抑えられる
敷金・礼金・仲介手数料等の契約にかかる費用や、家電・生活用品の購入費用など、引越しは何かとお金がかかるものです。引越しをするときの初期費用は家賃のおよそ5ヶ月分とも言われています。フリーレントによってその時期の家賃を数ヶ月分免除出来たら、金銭的負担がかなり軽減されるでしょう。
二重家賃が発生せず引越しもゆっくりできる
引越しによりそれまで住んでいた部屋を退去する場合、退去通知を出してからおよそ1ヶ月は住み続け、家賃を払う必要があります。ただ、その時期に新居を探し始め、思いの外早く良い物件を見つけて契約をした場合、新居と前の住まいで二重の家賃が発生することになります。しかし、フリーレントではこの二重家賃が発生しにくくなります。新生活が始まる中で二重家賃の負担はかなり大きいため、二重家賃が発生しないことはとても助かりますね。
またフリーレントでは、二重家賃を気にせず、契約が重なっている時期にゆっくりと引越しをすることができるため、引越しの際は荷物を自分たちで運ぼうと考えている人におすすめです。また日程的に余裕があるため引越し業者の手配なども楽になりますね。
フリーレントのデメリット
ここまでフリーレントの良い点ばかりを紹介してきましたが、何か落とし穴はないのかと不安に思ってる人も多いのではないでしょうか。ここではフリーレントの注意点について説明します。
短期違約金に注意
もしフリーレント物件で解約も自由にできてしまうと、無料期間だけを利用するお客さんが出てきて大家さんは儲かりません。そのため、ほとんどのフリーレント物件では「短期違約金」が設定されています。これは半年や一年など短期間で解約しようとしたときに発生する違約金のことで、金額は家賃の1ヶ月から二ヶ月分程度です。
住み始めてから突然の事情により退去しなければならなくなった場合、この短期違約金が発生し、かえって負担が大きくなってしまうこともあります。契約期間以上住み続けられるのか、職場などの状況と物件が本当に自分に合っているのかをよく考えるようにしましょう。
フリーレントの注意点
次にフリーレントの注意点です。フリーレントでは”家賃”のみが無料で管理費がかかってきたり、費用をトータルで考慮すると実はもっとお得な物件がある可能性もあります。
家賃以外の費用はかかることがある
フリーレントでは、家賃が無料になる一方で管理費や共益費は自分で負担する必要があることが多いです。無料期間中は費用が全くかからないから安心、と考えるのではなく、無料期間中の管理費・共益費の支払いについてしっかり確認するようにしましょう。
更新月は入居したタイミングから計算
フリーレント付きの物件でも契約月は入居開始したタイミングからになります。
そのためフリーレント終了後の家賃を支払う月からではなく、2年契約の場合はフリーレント2ヶ月とその後の22ヶ月後が更新月となります。
フリーレント以外の条件も見ておく
フリーレントだからお得、と安直に考えてしまうのはよくありません。引越しにおいては家賃以外にも敷金・礼金・仲介手数料など様々な費用が発生します。それらをトータルで見て、一番良い物件を考えるのが良いでしょう。
また最近では、フリーレント以外にもお得なサービス、キャンペーンが多数あります。敷金・礼金がタダになるサービスや、仲介手数料を割引してくれるサービスなどが例として挙げられます。もちろんそれらのサービス・キャンペーンにもメリット・デメリットはありますが、前述のようにまだまだフリーレントの物件は全体の6~7%ほどですので、最初からフリーレントに絞るのではなく、いろいろな物件を見たうえで総合的に判断しましょう。
フリーレント物件の探し方
繁忙期を避ける
就職や入学にともなって繁忙期の1月〜3月や転職や人事異動の多い9月は入居者が決まりやすく、空室になる可能性が低いためフリーレント付き物件が少なくなります。
対照的に閑散期の4月~8月、10月〜12月はフリーレント付きの物件が増えます。フリーレント以外にも敷金礼金が0円のキャンペーンなども併行しておこなっていることもあり費用面を重視する場合はこの時期にお部屋を探すことがオススメです。
不動産屋さんに交渉をする
「引越しの初期費用が高すぎて困ってる」「もう少し費用を抑えられたら即決するのに…」そう考えている方はフリーレントの交渉を考えてみても良いでしょう。大家さんは家賃の減額をしたくないためにフリーレントをすることが多いため、フリーレントは家賃の減額よりも交渉しやすいと言えます。ただ、闇雲に交渉すれば良いというわけでもありません。 重要なのはフリーレントにしてくれたら必ず契約する、とアピールすることです。これはフリーレントの交渉に限りませんが、交渉する際には必ず契約する意思が固まっている必要があります。交渉は必ず、自分が住みたいと思った物件で行うようにしましょう。フリーレントをつけてくれたら契約する、と本気度を示して交渉をすることで、大家さんも検討してくれる可能性が高くなります。
交渉時に注意すべきこと
交渉する際には、必ず丁寧な態度で望むようにしましょう。失礼な態度を取っていては、交渉がうまくいかないのはもちろん、大家さんにいい印象をもたれないことで審査に落とされる可能性もあります。
また、人気物件などで無理にフリーレントの交渉を行うと、交渉ができないために別の物件を紹介される、ということにもなりかねないので気をつけましょう。
よくある質問
フリーレント物件の審査基準は厳しいのか
フリーレント物件であることを理由に入居条件が厳しくなることはありません。 しかし、もともとフリーレントでなかった物件をしつこく交渉した場合は不動産屋さんの心証が悪くなる場合があります。 その結果として審査に影響することはあるので交渉は慎重にしましょう。
フリーレント以外にも費用をおさえる方法はある?
他にも敷金や礼金など初期費用を交渉して安くする方法があります。その中でも特に安くなりやすいのが仲介手数料です。 仲介手数料は大家さんではなく不動産屋さんの裁量で決まるため「あと少しで予算内になる」というときには気軽に交渉してみましょう。 交渉の仕方は下記に詳細があります。 また、ほとんどの物件はどの不動産さんでも取り扱えるため仲介手数料が安い不動産に持ち込んでみるのもオススメです。
関連記事:賃貸物件の仲介手数料は交渉可能?値下げできる交渉術と注意点をご紹介
まとめ
フリーレントの仕組み、メリットと注意点について紹介しました。フリーレントは確かにお得な仕組みですが、短期違約金など、契約する際には気をつけなければならないこともあります。また引越しには様々な費用がかかるため、フリーレントだけに目を向けるのではなく、総合的に見たときにどの物件がお得なのかをしっかり見極める必要があります。フリーレントに絞って物件探しを行うのは、選択肢が狭まってしまうためあまりオススメしません。フリーレント以外にも様々なサービスがあるため、情報収集をしっかり行い、自分に合った物件を契約できるようにしましょう。
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